洞爺湖サミットは、地元に何をもたらしたのか? 北海道洞爺湖畔で7月7日から9日まで開かれた主要国首脳会議(G8)。サミットが開催された洞爺湖周辺のゴルフ場の動きを追った。
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厳戒警備で入場者激減だった
トーヤレイクヒルGC
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サミット会場になった「ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ」に併設されているゴルフ場「ウィンザー・グレートピーク・オブ・トーヤ」は当然ながら休業したが、会場から至近距離にある「伊達CC」と「トーヤレイクヒルGC」は、サミット期間中も営業は行われていた。
来場者はどうかといえば、どちらもかなりの落ち込み、昨年と比べ半数以下でその影響は多大という。「『プレーができない』『封鎖されて行けない』と思っていた人が多いのでは」と、伊達CCの予約担当者は言う。
「痛いことは痛いが、サミット終了後は予約がかなり入っており今後に期待したい」とも語る。
期間中、メディアセンターが設置された「ルスツリゾートゴルフ72」は、道内最大の4コース72ホールがあり、そのうちホテルから車で15分かかる「リバーウッドコース」36ホールのみ営業を続けた。
ただ7月1日から10日までは日帰り営業となり、こちらも来場者は激減。それでも、もともとこのコースはツアー客中心のところで、ホテルは報道陣たちに占拠された格好になったことから、リゾート全体で見た場合収支はトントンという。
日銀の7月の地域経済報告によると、北海道の景気判断は、前回の報告で「減速」や「足踏み」へと引き下げられたが、今回はさらに悪化方向に表現が強められた。分野別では、個人消費については「弱めの動きが見られる」と下方修正された。
小社の旅行部門を運営するゴルフダイジェストツアーセンターでは、「昨年より北海道ツアーの申し込みはかなり落ち込んでいる。そうしたなかでのサミットは観光業者にとっては、痛手となるのは想像に難くない」とみる。
新千歳空港から洞爺湖に向かうルート上にあるゴルフ場にも聞いてみた。
苫小牧CCブルックコース(苫小牧市)の柿林優支配人は言う。
「ツアー客は半分以下になった。これは確かにサミットの影響と思われる。気候的には今が一番いい時期だけに辛い。警備の厳戒態勢が影響したのは間違いない」
ザ・ノースカントリーGC(千歳市)の太田康裕支配人も同様に、「ゴルファーの出足は、道内全体で鈍くなっている。苫小牧地区にしても、検問や渋滞がひどいという情報が客足に影響した。6月20日ぐらいから警備が厳しくなり、札幌方面からは極端に減ってしまった。不況も手伝って、来場者が一気に戻るまでなおまだ時間がかかるだろう」と分析している。
サミットがあることで、本来7月に行われる修学旅行が6月に集中、7月にはサミット本番と道外からの飛行機の予約を取ることも難しく、とくに道南地区のゴルフ場はとばっちりを受けたといっていい。
地球環境を話し合った今回のサミットだったが、少なくとも北海道のゴルフ環境は好転しなかった。
開催ホテルのゴルフ場だけは世界的に認知度がアップし、今後の集客は期待できそうだが、周辺のゴルフ場は何の恩恵もなく取り残されたという印象は拭えない。
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