「ゼクシオ』×『V-iQ』、『ZR』×『Xドライブ』『Z-UR』×『X-01』などあらゆるジャンルで国内ナンバー1を競い合うSRIスポーツとブリヂストンスポーツだが、練習場用のレンジボールでも両社のウレタンボールが出揃ったことで、ここでもがっぷり四つの戦いとなりそうだ。
市販されているコースボールの国内トップシェアを抑えているのはブリヂストンスポーツだが、練習場で使われるレンジボールではSRIスポーツが50パーセントを超えるシェアをキープしている。
コースボールに比べて単価が低いとはいえ、「ボール全体の構成比は数量で約3割、売上でも8パーセント程度を占める」(ブリヂストンスポーツ)レンジボールはボールメーカーにとって力を抜けない商品であることは間違いない。
この分野でも首位を目指すブリヂストンスポーツは、06年9月、業界初のウレタンカバーを採用したレンジボールを登場させた。
このボールはウレタン独特の柔らかい打感やアプローチスピン性能など、集客や客単価の増大が見込める施策として、とくに競合の多い地域を中心に導入する練習場が増え、その結果、出荷数量も半期ごとに2桁の伸びを続けてきた。
一方、ブリヂストンスポーツの追い上げにもかかわらず、キャスコがこの分野から撤退してきたことも手伝ってさらにシェアを伸ばしたSRIスポーツ。ここで満を持して、ウレタンカバーのレンジボール『スリクソンレンジャー』をテスト投入したのだ。
「手に優しく打ち疲れないボールです。コースボールとは異なるウレタン素材を採用していますが、スピン性能もコースボールに近いと思います」(SRIスポーツ経営企画室・山田照郷氏)という自信作という。
このボールには『DUNLOP』ではなく、『SRIXON』のブランドロゴがプリントされ、同じウレタンツーピースで『TOURSTAGE』ブランドを採用しているライバルに真っ向から立ちはだかることになりそうだ。
当のSRIスポーツでは、「耐久性が欲しい、弾道を抑えたい、飛距離を抑えたい、水に浮くボールが欲しいなどレンジボールに対するニーズは練習場によって様々。あくまでもニーズに応えるためのウレタンボール」(山田氏)としている。
ブリヂストンスポーツはライバルの参入に対し、「ウレタンボールが認知され、市場が拡大するのは歓迎」(広報室・松本雅一氏)とエールを送る一方で、「まずうちが納入している練習場に切り替えてもらうことから始めたようですね」とライバルの出方をやんわり牽制する。
だが、業界内では、すでにSRIスポーツがブリヂストンスポーツの納入先を狙い打ちしており、練習場に舞台を移した2強によるボール戦争がいよいよ勃発かという噂も流れている。
それというのもレンジボールは、そのものの販売だけにとどまらず、それを突破口にして、施設や物販、スクールなどへとビジネスチャンスを拡げるための戦略商品と位置づけられているからだ。
ゴルファーにとってウレタンボールが普及することは嬉しいことだが、この2強の戦いにも興味しんしんといったところだ。
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