商品を購入する際、大きな決め手となるのはブランド。大手メーカーによるブランド再編から、中堅メーカー各社によるブランド統廃合など最新のブランド戦略を探ってみた。
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米ツアーで人気のクリーブランドウェッジが買いやすくなる
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まず最近の動きで顕著なのが、ブランドのグローバル化だ。世界同一ブランドを展開する外国企業に対し、日本のメーカーは相手国によってローカルブランドを使い分けることが多かったが、米国や欧州の情報がリアルタイムで飛び込んでくるいまの時代にそぐわなくなってきた。
マミヤオーピーはこの秋から日本でシャフトの新ブランドを展開する。「プロフォース」は子会社のUST社が米国で販売するブランドで、米ツアーでの使用率が2位になるなど、高い知名度=ブランド力を誇っている。
一方、同社が日本で展開する「アクシブ」は、4軸カーボンの高性能を売り物としているが、日本ツアーでの使用率は伸び悩んでおり、アフターマーケットでも上位3社に水をあけられている。そこで、両方のブランドを融合し、それぞれの強みを生かそうというのが「プロフォース・アクシブコア」だ。
このシャフトは、すでに米ツアーでは丸山茂樹をはじめ使用選手が増えており、日本ツアーでも認知度が高まりつつある。
反対に、日本ツアーで使用率トップのグラファイトデザインは、米ツアーでは4~5位グループに甘んじている。アフターマーケットで後れを取っているフジクラ、三菱レイヨンを追撃するために、同社は米国市場においても、日本で人気の高い「ツアーAD」にブランドを一本化していく。
例えば、日本で販売されている『ツアーAD PT』の米国名は『パーシング』だが、今後は『ツアーADパーシング』という名前になる。また、OEM品に関しても「サブブランドとしてツアーADを採用してもらうようクラブメーカーに働きかける」(グラファイトデザイン・高橋雅也氏)ことで同ブランドの認知度アップを図っていく考えだ。
F1レースやトーナメントのスポンサードで知名度が向上したのに合わせ、05年から主力ブランドを「プリセプト」から「ブリヂストンゴルフ」に移したブリヂストンスポーツも米国で着々と足がかりを築いている。「プリセプト」はシニアやレディスに認知度の高いボールだが、すでに売上ベースでは「ブリヂストン」が「プリセプト」を追い越している。
SRIスポーツが世界戦略ブランドとして立ち上げた「スリクソン」も、10月からいよいよ米国に本格進出する。同社は、昨年、買収したクリーブランドゴルフの販売網を使って、「まずはボールのシェアを伸ばし、次にクラブに取り組む」(SRIスポーツ経営企画室・山田照郷氏)青写真を描く。
同時に、国内では「クリーブランド」が同社の販売網に乗る。ウェッジは言うに及ばず、もともと商品力の高いブランドだけに、同社の強大な営業力が加われば、ライバルにとってはかなりの脅威となりそうだ。
このほか、往年のゴルファーには馴染み深い「マスターズゴルフウェア」を廃止し、幅広い層に受け入れられている「カッパ」をゴルフウェアの基幹ブランドに据えたフェニックス。
ゴルフクラブのほか健康関連商品を充実させるべく、セイコーエスヤードから社名変更を行ったセイコースポーツライフなど、生き残りをかけたブランド戦略が行われている。
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