8月8日の北京五輪開幕を控えスポーツ界ではオリンピックムードが高まってきている。そうしたなかで、ゴルフをオリンピックにという声が高まりつつある。本誌既報(6月17日号)のとおり、米ツアーは欧州ツアーと共同して、IOC会長にオリンピック種目への参加を陳情しているが、全英オープンでも、R&AとUSGA、米LPGAなど関係諸団体も加わってオリンピックの話で盛り上がった可能性が高いのだ。
オリンピック委員会は2年前、2005年の7月に、オリンピックで競技されるのは28のスポーツまでで、それ以上は当面増やさないと決めた。2012年のロンドン大会では、すでに野球とソフトボールが、競技スポーツから外されることが決まっている。
実はこのロンドン大会でも、ゴルフがオリンピックの正式競技になる可能性はあったのだが、結局実現には至らなかった。
だが、このときIOCは、「オリンピックプログラムを含めて、インターナショナルゴルフフェデレーションが見せた努力にシンパシーを表明する。IOCは、新たな競技を加えることによって、オリンピックが最も注目を集めるイベントであり続けるために、今後もゴルフフェデレーションと動いてゆくだろう」という趣旨の手紙をIOC会長が送っているのだ。
つまり、「現在問題となっているのは、2016年のオリンピックで、空いた2つの枠に対して、5つのスポーツ、さらに野球とソフトボール(の復活)を含めた7つのスポーツが争っている状態」(USGAエクゼクティブ・ディレクター、デビット・フェイ氏)なのだ。
このほかのスポーツというのは、空手、ローラースポーツ、ラグビー、スカッシュということで、こうしたスポーツに比較すれば、ひいき目かもしれないが、ゴルフが正式種目として採用される可能性は非常に高い。
IOCは、アマチュアではなく、トッププロが集まることを条件としているようで、これを受けてか以前には「オリンピックのゴルフはアマチュアの競技であるべきだ」と語っていたフィル・ミケルソンも「ゴルフをオリンピックの競技にすることは、ゴルフ界にとって非常に重要だ。
もし自分に国を代表する機会が与えられるのなら、絶対プレーをしたい」とかつての発言を修正している。
とはいえ、8年後の夏には、そのミケルソンは46歳になっているし、タイガー・ウッズも40歳。現在のトッププロが各国の代表に選ばれるかどうかはまだわからないことから、選手の声は、さほど重要視されていないとも聞く。
「ゴルフは環境にフレンドリーなスポーツだし、新たな種目になったとしても、競技場などを作らないでも済む。ただ問題なのは、どこの国で開催されるかということだ。ゴルフコースがなかったり、その国のオリンピック委員会が選択できるほど多くのゴルフコースや資金がなかったりするのでは、試合を開催できない」(D・フェイ氏)という話もある。
2016年のオリンピックと言えば、東京も立候補しているが、このほか、アメリカのシカゴ、スペインのマドリード、ブラジルのリオデジャネイロの4都市に絞られている。ゴルフでは“後進国”のイメージが否めないブラジルは別にして、少なくとも残りの3都市なら、ゴルフが正式な競技種目になっても問題はないだろう。
この問題、どうなるか、来年10月のIOCの決定を待ちたい。
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