今年11月、オアフ島西部のエバ地区に、日本の準大手ゼネコン長谷工コーポレーションが開発した、会員制ゴルフ場ホアカレイCCが誕生する。過去、ハワイでは特殊な存在だったはずのメンバーシップコースが、ここ数年相次いで誕生している背景を追った。
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7400ヤードと距離たっぷりのホアカレイCC
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ホアカレイCCは米国の大手ゴルフ場運営会社・クラブコープが運営を請け負い、設計はアーニー・エルスが手掛けた。
来年1月にはオープニングセレモニーの開催が予定されているのだが、その直前にはPGAトーナメントの開幕戦であるメルセデスベンツチャンピオンシップが、マウイ島のカパルアリゾートのプランテーションコースで開催される。
「メルセデス杯参加者の中から、アーニー・エルスが自らの人脈で錚々たる顔ぶれのゲストを呼びこむことも十分予想される」(現地のゴルフ場事情に詳しいエイチ・アイ・パシフィック社の佐藤雄二氏)。
そのホアカレイCC、会員権の販売予定価格も年会費なしの会員が12万5000ドル(106円換算で1325万円)、年会費ありだと10万ドル(同1060万円)で年会費は1800ドル(同19万800円)。コース隣接地の住宅を購入すると、会員権の方は大幅なディスカウントを受けられるらしい。
オアフ島の会員制コースには第2次世界大戦以前にできたオアフCCやワイアラエCC、ミッドパシフィックCCがあるが、このほかは1974年オープンのホノルルCCが最後。オアフでの会員制コース誕生は実に34年ぶりだ。
だがハワイ島ではここ数年、著名な設計者を登用した会員制コースのオープンや計画が相次いでいる。コース隣接地で住宅の分譲も行っている点でも共通する。
年末か年明け前後のオープンと見られているハワイ島のコハナイキG&オーシャンCの設計はリース・ジョーンズだし、ザ・クラブ・アット・ホクリアはジャック・ニクラス。クキオG&ビーチはトム・ファジオの設計。それもすべてが7000ヤード超のチャンピオンコースだ。
著名設計者を登用しているだけに会員権はいずれも高額だし、会員制だけに旅行者ゴルファー向けの情報も表には出てこない。隣接する住宅も高額。
基本的には「コースに隣接する住宅の販売に主眼が置かれていて、住宅の付加価値を高めるためにコースのプライベート化を図っているのではないかと見られている」(ハワイを中心にPR業務を手掛けるパックリムマーケティンググループのデーブ・アードマン氏)。
ハワイはヨーロッパからは距離的にかなり遠いので、基本的には米国本土の富裕層をターゲットにしたものだろう。ウォール街では史上最高額のボーナスが支給された翌年には、一挙に“サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題”でリストラの嵐が吹き荒れた。
もともとアーリーリタイヤメント前提のウォール街の金融マンが、多額の退職金をもらってリストラされている。余生を過ごす場としてハワイを選んでくれれば、というのが開発業者の思惑だろう。
このほかにも、マウイ島のカパルアGC3コースのうち、ビレッジコースをマウカコースの名で会員制にする計画もあったが、こちらは今現在保留中という。
今回のメンバーシップ化の動き、我々日本人には関係なさそうな点が、ややさびしいかも?
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