チャーミング・リゾート都GCなどを保有していたゼクスがゴルフ場事業から撤退して4カ月。今度はパシフィックホールディングスグループ(略称PH。6月1日にパシフィックマネジメントから改名)の撤退が明らかになった。国内不動産市況が深刻化するなか、資産売却による有利子負債削減を迫られ、ゴルフ場事業からの撤退を余儀なくされる事情を追った。
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元西武系、現PHのおおむらさきGCもまたまた転売される?
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PHはオフィスビルや賃貸マンションなど、不動産を運用対象にしたファンドビジネスを手掛け、運用資産規模は今年5月末時点で9746億円。上場のファンド運営会社としては2~3番手である。
ゴルフ場事業に参入したのは2005年10月。おおむらさきGC(埼玉)など西武系3コースや相武CC(東京)、新東京GC(茨城)、民事再生手続きや会社更生手続きをとったコースのスポンサーに就任して取得した6コースなど合計12コースを、昨年6月までの2年8カ月で取得している。
ゴルフ場事業には、1年半ほど前には「むこう3年間で500億円くらいまで投資したい」と語っていたが、現段階での投資総額は推定350億円前後。撤退の原因はやはり昨今の不動産事業を取り巻く環境の変化。
不動産はいったん物件の動きが止まり始めると、金融機関が一斉に資金を付けなくなり、それがさらなる物件の滞留を招いてしまう。
PHは今年5月末時点で約2900億円の有利子負債を抱えているが、現在の金融機関の姿勢を反映するかのように、決算期末である今年11月末までに1100億円前後まで削減する計画を掲げた。
半年間で1800億円も有利子負債を減らすために、かなり積極的に資産売却を進めることになり、ゴルフ場についても、「基本的に全コース売却したい考え」(PH広報)だという。
いつまでに売却を完了させたいのかについては明言を避けたが、この有利子負債削減計画を見る限り、今年11月末までに売りたいと考えていると見るのが妥当だろう。
今年5月末の中間決算時に、売却可能な金額まで帳簿価格を引き下げる“減損”処理を102億円実施している。
一方、PHと同業で業界トップのダヴィンチ・ホールディングスもまた、1年半ほど前に「今後10年間で30コースの取得を目指す」としていた。
ただ、こちらは宿泊施設をゴルフ場のフェアウェイフロントに建設し、新しいタイプのリゾート事業を展開しようというコンセプト。30コースの取得を目指すとは言っても、コース運営事業自体を、外資大手2社などと競争しながら展開しようという意図はない。
今のところゴルフ場からフェアウェイフロントの土地の提供を受け、宿泊施設を建ててその運営を請け負う“提携事業”が主体。取得済みコースは月夜野CC1コースだけで、提携はサニーCC、野母崎GCが稼働済み。
年末にキャメルゴルフリゾートが稼働する予定で、それ以外に今後10カ所のオープンが予定されている。他社所有コースに間借りする方式中心で、取得が計画に反して1コースどまりなのは、金融情勢ゆえだろう。
新興勢力が手放すコースを拾うのは、どこになるのか、気になるところだ。
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