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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 9/2号
2008/8/21更新
溝の容積、縁の鋭さに制限。
発表になったフェースの溝規制の中身

 昨年2月、R&Aが公にした「クラブフェース・マーキング(溝)の新規則案」、すなわちアイアンクラブのスピン量を制限するルールが、細部の修正を経てついに規則化された。その気になる中身は――。



 R&Aは、この案についてのクラブ製造メーカーからの意見聴取期間を今年8月1日までにと定めていたが、同期間が終了したことから若干の修正を加えた上で、8月5日に次の新規則を発表した。

(1)<溝の容積率>溝の総断面積を溝のピッチ(溝幅+間隔)で割った値が0.003スクウェアインチ/インチ(0.0762平方ミリ/ミリ)に制限される。

(2)<溝の縁の鋭さ>有効最小半径0.010インチ(0.254ミリ)に制限される。これは、先に発表された「案」より<溝の容積率>に関してはやや緩和(0.002→0.003スクウェアインチ/インチ)されたものの、ほぼ原案通りの内容といえる。

 また、この新規則が適用されるのはアイアンではロフト25度以上のクラブ、すなわち5番アイアン程度以下のクラブということになる。新たな規制の目的は、ラフから打つプレーヤーとフェアウェイから打つプレーヤーの差を明確にすることにある。

 R&Aの認識では、昨今のトッププロレベルにおいては、球がラフにあってもフェアウェイにあっても結果に差が出ないため、ゴルフのゲーム性が著しく損なわれているという。

 しかし、SLEルールのときと同様、アイアンの溝の規制もむしろアマチュアゴルファーにより大きな影響があると反発する意見もある。

「プロを真似てグリーンに止めるためにフェースを削ったり、道具を工夫するのはゴルフの楽しみの一つ。ルールには従うが、個人的には今回の規制はそれを奪うものでは」(大手クラブメーカー担当者)。

 一般ゴルファーからは、今年ドライバーを買い替えさせられたばかりなのに次はアイアンかという恨み節も聞こえてきそうだが、R&Aではプレーヤーのレベルによって導入時期に差をつけることで、SLEルールの時のような一般ゴルファーの不利益や市場の混乱を緩和する考えだ。

 新規則の導入時期は、ツアー競技が2010年、ナショナルアマなどトップアマチュアが参加する競技は14年から(日本ジュニア、日本シニアなどは検討中)。また、一般のアマチュアゴルファーはルール不適合アイアンであっても24年まで猶予期間が設けられており、これがさらに延長される可能性もある。

 ただし、クラブメーカーは10年以降、新規則に適合するアイアンしか製造できない。これに関してクラブ設計家の竹林隆光氏は、

「私個人としては、ロフト50度以上のハイスピンウェッジはあってもいいと思います。50度以下のクラブはフルショットで打つことが多く、ボールに傷がついてしまうのでルールに触れるようなクラブは本来ありえない。それにしても5番アイアンまで規制する意味があるのか」と新規則そのもの疑問を投げかけつつ、

「メーカーにとっては、ぎりぎり許されるタイミング。それより、誰もが納得できる測定法が確立できるかどうか」と別の問題点を指摘している。また、あるクラブメーカーからは、「ラフなものならすぐにでも作れるが、いまあるクラブの性能に近いものを作り込むには時間がかかる」と危惧する声も出ている。

 性能の進歩が足踏みすれば、購買意欲もしぼむ。長すぎる猶予期間が、かえってゴルフ業界の停滞を招く怖れもある。

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