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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 9/9号
2008/8/28更新
米ツアーで自動車メーカー離れが懸念。
来季ツアー日程にも影響が

 米PGAツアーが深刻な事態になろうとしている。サブプライム問題に端を発した米経済の不況、世界経済の失速がささやかれる中で、自動車メーカーの米ツアーからのスポンサー離れが、懸念されているからだ。


タイガーとビュイックとの契約はどうなる?

 これまで、米ツアーは常にその時代の花形産業をスポンサーに付け、不況といわれる時代を乗り切ってきた。しかし、そうしたなかにあって常に変わらずに、米ツアーを支えてきたのが自動車産業だろう。

 ところが、今年上半期の販売台数では、トヨタがGM(ゼネラル・モーターズ)を抜き、世界のトップに立ったというニュースは衆知の通り。4~6月の第2四半期では、GMは約1兆7000億円の赤字を出し、フォードもクライスラーも販売台数の落ち込みに悩んでいるという状況だ。

 GMといえば、かつてはPGAツアー最大ともいえるスポンサーだった。マスターズトーナメントをはじめ、シニアのキャデラックシリーズ、あるいはA・パーマー、T・ワトソン、F・カプルスなどのスポンサーとなっていたが、今やすべて撤退。

 GM傘下のビュイックは、1958年にビュイックオープンをスタートさせ、米ツアーでは、もっとも古い冠スポンサーとして、今も続いている。

「ゴルフは、われわれのDNAだ」とビュイック・ゴルフマーケッティングマネジャーのラリー・ペック氏が語るように、ゴルフとクルマはつきもので、宣伝効果は十分にあったのだろうが、昨年はビュイック選手権から撤退し、現在冠スポンサーとなっているのは、同オープンとビュイック招待の2試合だけ。

 今年アカデミー賞やテレビのエミー賞のスポンサーからGMが撤退した際、「GMは販売不振で業績低迷が続き、広告費など経費削減に乗り出している」(日経ネット)と評されたが、大幅な人員削減や部門の売却などを行うなかで、まさかタイガー・ウッズとの契約まで破棄することはないだろうが、ゴルフの広告予算をカットせざるを得なくなっているのは事実だろう。

 フォードにしても、P・ミケルソンとの契約を打ち切ったばかりでなく、昨年ドラール・フォード選手権から撤退しているし、2年前まで4試合のスポンサーをしていたクライスラーは、今ではわずかにボブ・ホープクライスラークラッシックを残すのみになっている。

 実際、2年前には自動車メーカーは10試合のスポンサーだったが、今では6試合になっているうえ、メルセデス、ホンダ、BMWの外国勢を除けば、アメリカのメーカーは3試合だけになってしまっている。

 PGAツアーと自動車メーカーとの契約は、3~5年契約が普通と言われているが、「私たちは多様化しなければならなかった」とPGAツアーのジョン・ポダニー副会長が語るように、米ツアーはとにかく穴埋めをする形で、様々な業種のスポンサーを探し、短期の契約を結んでいる。

 こういう流れのなか、米自動車メーカーに代わって、もっとも増えたのが金融系だが、アメリカの金融関連会社は、サブプライム問題で、青息吐息。ヨーロッパ系の金融機関もこの影響を大きく受けている。

 そこで期待されていたのが、トヨタなど日本の自動車メーカーだ。実際、トヨタのレクサスが、USGAのオフィシャルカーになってはいる。

 しかし、そのトヨタにしても、利益はあげてはいるものの、今年の第2四半期に売り上げで4.7パーセント減、営業利益では、前年同期比で38.9パーセント減と失速し始めている。今年ニッサンオープンが撤退したように、日本のメーカーも期待薄という状況なのだ。

 以前は、全米プロの直後に発表されていたPGAツアーの翌年のスケジュールだが、なかなか発表できないのは、スポンサー探しに苦労している証拠といえるのかもしれない。

 現在行われているフェデックスカップの優勝ボーナスは、約11億円といわれているが、過去10年、賞金ばかりが膨れ上がっているだけに、不況下でのスポンサー探しは容易ではない。

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