かつてそのコース名のユニークさがちょっとした評判になった、富士クラシック(山梨)の親会社、中堅不動産会社のアーバンコーポレイションが民事再生手続きの開始を申し立てた。平成7年のオープンから13年間に2度コース名が変わり、現在の名称になってからまだ1年半弱。民事再生手続の行方次第では3度めの名称変更もありうる。
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富士クラシックの名はわかりやすくていいが、さてどうなるか?
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現在の富士クラシックという名称は至ってオーソドックスだが、その前は『壮快美健館富士1ばん』。「昔の、富士中央で、その後富士1ばんになったところ」で通るコースだ。
コースは奇才デズモンド・ミュアヘッドの設計。フェアウェイの真ん中のバンカー内に卍型の芝生があるなど、その設計は実にユニークでコースの評判は上々。だが、その経営会社は実に数奇な運命を辿ってきた。
まずはその立地だが、上九一色村のオウム真理教本部跡に近接しており、オープンから暫くの間は「コースからサティアンが見えた」り、「途中で検問を受けた」(当時を知るゴルファー)りしたという。
オープンした平成7年10月は、地下鉄サリン事件から半年が経過していたが、このコース、建設が始まったのはオウムが当地に進出した翌年の平成2年。
当時は愛時資という不動産会社の系列会社が運営主体だったが、バブル崩壊で事業継続を断念。代わってメインバンクの新潟中央銀行の関係企業がコースを完成させ、『富士中央』としてオープンさせた。
が、その新潟中央銀行も破綻してしまったため、金融整理管財人が同コースを競売。タカギ・リゾートが落札したのが平成14年11月で、翌平成15年4月、『壮快美健館富士1ばん』にコース名を変更した。
アーバンコーポレイションが同コースを買収したのはその3年後の平成18年5月。1年近くはこのユニークなコース名のまま営業を続けたが、昨年3月に現在の『富士クラシック』に変更した。タカギ・リゾートが旧会員にプレー権を認めずパブリック化したので、現在もパブリックで運営されている。
アーバン社は現在、子会社で富士クラシックを含め北海道クラシックGC、白川国際CC(福島)など8コースを保有・運営している。この他、公式には認めていないが、来年オープン予定の和泉の郷GC(旧トーハト和泉PGC)の建設も支援しているといわれる。
アーバン社のスポンサーはまだ決まっておらず、傘下コースの運命はスポンサーの意向次第で変わってくる。
現段階では「ゴルフ場をどうするのかはまったく決まっていない」(アーバン社広報)が、少なくとも名称変更の可能性は十分ある。
資金繰り倒産だったので資産超過という説もあるアーバン社だけに、スポンサーに一体どこが就任するのかも注目される。
当然、2大外資のどちらかがごっそり8コースまとめて取得する可能性も否定出来ない。
撤退を決めたパシフィックグループ、ゼクス、そして破産に至ったレイコフ。ゴルフ場買収の新興勢力の手から相次いで離れていく各コース。1年後の勢力図は果たしてどうなっているのだろうか。
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