米フェデックスカップの「プレーオフ」の第2戦ドイツ銀行選手権で、ビジェイ・シンが優勝し、賞金王とプレーオフ優勝に王手をかけた。その一方、ディフェンディングチャンピオンで、昨年タイガー・ウッズを抑えて、この試合に優勝したフィル・ミケルソンは、今年より始まった新ルール、通称「78人ルール」で最終日に進めず。タイガー不在のなか、このところ調子上向きのもう一人のヒーロー、セルヒオ・ガルシアとともにミケルソンの動きを追った。
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半分締めたかのようなミケルソン(左)、
いまいち詰めが甘いガルシア。これではプレーオフは盛り上がらない?
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タイガーの休場で、もっとも恩恵を受けると言われていたミケルソン。しかし、実際は、6月の全米オープン以来出場しているのはビッグトーナメントの5試合だけで、しかも優勝の可能性があったのは、WGCブリヂストン招待だけ。
そのブリヂストンも最終日14番ホールまでボギーなしで1打リードしていたにもかかわらず、最後の4ホールで3つのボギーを叩き、結果は4位タイ。何やら、ライバル・タイガーの休場でやる気が失せてしまっているような気配だ。
先のドイツ銀行の試合直前に、最近の調子を尋ねられ、「思ったようなスコアにならないだけ。調子が良くなっているように感じてはいるが、グリーン周りでミスをしてスコアにならない。でも、確実に良くなっており、今週は期待できる」と語っていたにもかかわらず、結果は最終日のプレーに進めない73位タイ。
ミケルソンは、今季から始まった本戦出場選手数を決める「78人ルール」で、2日目の予選は通ったものの、3日目の再カットで1打及ばず、最終日のプレーに進むことができなかった。
しかも、予選通過が危ぶまれる2日目のインタビューでは、「(今晩は)予定どおり、レッドソックスの試合を見にいく」と語り、しっかり岡島秀樹が登板した大リーグ観戦を楽しんでいるのだ。
練習日やオフならばともかく、試合2日目の夜に前々から試合観戦を予定するなど、何かブレているとしか言いようがない。
タイガーの不在に関しては「私たちはラッキーだ。すべてのスポーツのなかで最も注目されるアイドルが、私たちのなかでプレーしているんだから。タイガーがいなければ、自分は世界のナンバー1になれたかもしれない。ただ、稼ぎのほうは今の半分になっていたはず。彼がいないとテレビの視聴率や観客数は落ち、ゴルフ自体が低迷してしまう。そうした意味で、タイガーが企業のスポンサーやファンを引き付けてくれるという事実に感謝しているんだ」とか。
ミケルソンが世界のトップになることを過去形で語ったことに対して質問されると「まだ、トップになることに、少しは努力しているし、諦めたわけではない」などと語っていたが、どこか諦念してしまっている感が否めない。
タイガーがいる限り、トップにはなれない。しかし、お金はタイガーの半分弱とはいえ、年間50億円前後の収入があると言われるミケルソン。タイガーあっての自分というように、諦めてしまっているかのようだ。
もうひとり、ミケルソンとは異なり、やる気はあるのだが、いまひとつ勝てないのが、セルヒオ・ガルシアだ。全米プロから、プレーオフシリーズのバークレイズ、ドイツ銀行と3試合ともに優勝争いに加わったが、結果は2位タイ、2位タイ、5位タイの成績。
一時、義理の父親になるのではないかと言われたグレッグ・ノーマンが、ガルシアを評して「彼はいいプレーヤーだが、超一流のプレーヤーにはなれない。ゴルフに集中しきれないからだ」と語っていたが、まさに、最終日や最終数ホールの詰めの甘さが、弱点となり、再三の優勝を逃している。
ポストタイガーの最有力候補と言われていたガルシアだけに、どうしてもタイガーと比較されてしまい、詰めの甘さや集中力のなさが目立ってしまう。
タイガー不在のプレーオフ。休場していても、注目度の低迷など、タイガーはしっかり、その影を落としている。
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