会員権相場の下落が続くなか、400万円の預託金会員権の半額だけを先に収め、5年以内に残額を支払うかどうかを選べる販売手法が登場した。新規募集で苦戦し、苦肉の策として打ち出したこの手法、発売から1カ月あまりたった現時点での成果のほどを追った。
半額あと払い方式を採用したのは、東急不動産傘下の関西CC(京都)。昭和48年のオープンで、以前は富士火災系列のコースだった。オリックスが運営を受託していたが、昨年4月に東急不動産が買収している。
同CCでは昨年7月から正会員100口の追加募集を開始、価格は入会金84万円と10年据え置きの預託金400万円で合計484万円だった。
だが、「昨年いっぱいはまずまず売れたが、今年に入ってから厳しくなりはじめ、特に4月以降はかなり苦戦するようになった」(同CC)。
そこで、預託金400万円のうち、半額の200万円と入会金の84万円の合計284万円を支払えば、残りは5年間猶予するシステムを導入した。
5年間は正会員と同じ権利でプレーができて、5年以内に残額の200万円を払うと、正規の会員権を発行してもらえる。5年以内に退会を希望する場合は、200万円から20万円を差し引いた180万円をコース側が返還するという。
200万円を支払った時点では預かり証の発行となり、この預かり証は市場で売買することはできない。その代わり、満額ではないとはいえ、9割はコースが返してくれるわけだ。
このアイデア、「200万円以下の会員権は今でも比較的動きが良いので、少しでも動きがよくなればと思って始めた」(同CC)という。
限定50口で、販売期間は7月下旬から来年3月末まで。半額で5年も“お試し”期間があるというのに、「正直言って成果は今ひとつ」だという。
ゴルフ会員権の相場が急騰を演じたのは平成17年の暮れから平成18年5月までの約半年。関東ゴルフ会員権取引業協同組合が発表している単純平均値は、これ以降約1年以上にわたって320万円~330万円で高止まりをしていた。
だが、昨年夏あたりから徐々に落ち始め、今年8月28日現在の単純平均値は240万円まで下落。バブル崩壊後の最安値は平成15年6月に記録した204万円なので、徐々にこの最安値を窺う領域に突入しつつある。
「関西CCの追加募集はちょうど相場の落ち始めの時期に当たっており、コースにとっては何とも不運」(関西の会員権相場に詳しい会員権業者)ではあるのだが、会員権を買う側のゴルファーにとっては、相場の下落は悪いことばかりではない。
相場の上下に一喜一憂することなく、自分に合ったコースをじっくり選べる環境が整ってきたとも言えるだろう。逆に言えば、コース側にとってはゴルファーの厳しい選択眼に、これまで以上に晒される、厳しい時代が到来しつつあるということだろう。
|