スポーツ新聞の国内男子ツアーの報道は、石川遼一色と言っても過言ではないほど、連日、良くても悪くても、石川遼の記事に大きなスペースを割いている。そんな風潮にベテランの谷口徹が、石川遼以外にも注目選手がいるのではと、チクリと批判の言葉を投げかけた。
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20代旋風炸裂か! 上り調子の甲斐慎太郎(右)と藤島豊和(左)
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9月第1週に行われたフジサンケイクラシックの予選2日間で、初めて石川遼と同じ組み合わせになった谷口徹。「予想していたよりも、はるかに上手かった。プレーに入る前の集中力がいい」とプレーを絶賛した。
が、その一方で、「遼くんばかりではなく、僕の目から見て、いい選手はいっぱいいる。もっと他の若い選手にも注目してよ。新聞はバランスよく載せてほしい」と石川遼一辺倒の報道に苦言を呈した。
確かに、そのフジサンケイクラシックでは、27歳の藤島豊和が、同じく27歳の岩田寛をプレーオフの末に破ってツアー初優勝を手にしたし、その前週のバナH杯KBCオーガスタでも、27歳の甲斐慎太郎が激戦を制してツアー初優勝を挙げている。
谷口徹が言うように、このところ、石川遼と比べればかなり年上ということにはなるが、20代の選手の活躍が目立つ。
昨年の男子ツアーだが、20代優勝はドンファンとC・ビジェガスの2人だけで日本人ツアープロは皆無だった。
今季は、フジサンケイクラシック終了時点で、20代優勝は、前出の甲斐、藤島に加え、すでにベテランの風格があり、30代間近だが、29歳の谷原秀人がマンシングウェアKSBで、間もなく29歳になる谷口拓也がサン・クロレラで優勝している。
“新鮮味”ということで言えば、谷口徹の言を待たずとも、もっと20代の若手にスポットを当てた報道があってもいいはずだ。
「どうして勝てないの?」という疑問符が常について回る宮里優作も80年代生まれの28歳。かつてのアマチュア時代の活躍からすれば、いつ“20歳代フィーバー”の主役に躍り出ても不思議ではない存在だ。
今年は、昨年より賞金総額が増えているため、賞金シードの最低ラインも昨年実績の1000万円強よりも高くなると予想され、フジサンケイで17位タイとなって今季通算獲得賞金が1500万円を上回り、現在賞金ランク35位の石川遼はシード当確と見られている。
その石川を凌ぐ成績を挙げている20代選手には、前述の甲斐(賞金ランク7位)、岩田(同8位)、藤島(同15位)のほかに、すでに昨年1勝しているドンファン(21歳、同12位)、2005、2006年と日本アマ2連覇のキム・キョンテ(22歳、同34位)らがいる。
そのなかでも現在、賞金ランク39位の松村道央(25歳)は、昨年のチャレンジトーナメントで2勝し同トーナメントの賞金王に輝いた選手で、日大のアマチュア時代には学生王座決定戦で優勝した経歴もあり、大いに期待できる選手の1人だ。
当確ではないが、賞金シード獲得可能な賞金ランク70位以内のなかに活躍を予感される選手も多い。
現在、賞金ランク52位の津曲泰弦(22歳)は、2004年の全国高校選手権に優勝しているし、同年の日本アマではベスト4に入る活躍を見せていた選手だ。
ランク66位の清田太一郎(28歳)も昨年のチャレンジトーナメント上位で今シーズンのレギュラーツアー出場のチャンスをつかんだ選手で、今季はアジア・欧州・豪州3試合の共同開催のジョニーウォーカーで2位と大健闘し、一気に欧州参戦の可能性もあった注目株だ。
目を2部ツアーのチャレンジトーナメントに転じてみると、開幕のPRGRカップを制した額賀辰徳は、1984年生まれの24歳。アマチュア、学生で数々のタイトルを獲得した経歴があるが、身長183センチの体格から大型プレーとしての期待を集めている。
こうして20代選手の顔ぶれを見てみると、彼らの活躍次第では、男子ツアーはさらに面白い試合が展開しそうだ。
何よりも渦中の20代選手が、「僕ら80年生まれの活躍で、絶対、男子ツアーは盛り上がる」(清田太一郎)と自覚を持っているのも頼もしい。谷口徹の言を待つまでもなく、20代に注目することは、今後のトーナメントを観戦する楽しみになるはずだ。
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