ロフト17度の『ゼクシオプライム』が登場したのは2004年。高反発系から高打ち出し・低スピン系にシフトが始まった頃で、アイデアとしてはタイムリーだったが、後に続くクラブは出てこなかった。しかし、3年後の昨秋、アキラから17度のドライバーが発売され、意外な人気を集めている。そして最近の傾向として、これまで見向きもされなかった? 12度超のドライバーが増えている。
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シニアだけでなくアベレージにも使えそう。(左)バーナープラス、(右)Sヤード・エグゼライト
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17度をラインナップしているのはアキラの『ADR』と『ADRビンテージ』。
ロフトを17度に設定した理由は、「ヘッドスピードが落ちてきたシニア層がボールを飛ばすためには、打ち出しを高くすることが必要。1度刻みでテストした結果、ヘッドスピード36m/s以下の場合、17度がいちばん飛ぶとわかった」(アキラプロダクツ・高山博幸氏)からだ。とくに『ADRビンテージ』の17度はメディアでの評価も高かったことから、店頭での動きがいいという。
ゴルファーの心理として、スプーンよりもロフトのあるドライバーには抵抗感がある。その境目は12度。現に、これまで12度や、それを超えるような表記はほとんどなかった。
ロフトの数値を表示せず、『HT』(ハイトラジェクトリー)と表記したりすることで、数字の“違和感”を払拭しようとしていた。
それが、ここにきて12度超のハイロフトドライバーが脚光を浴びはじめたのは、「いまのお客様は飛びのメカニズムやテクノロジーの知識が豊富で、ハイロフトのクラブが球がつかまって上がることをよく理解しているので、抵抗が少なくなってきた」(松坂屋名古屋店バイヤー・渡辺智邦氏)のも要因。
そういった意味で、ハッピーリタイア層をねらうプロギア『プレミアムレッドTR-X505』(12.5度)、Sヤード『エグゼライト』(12.5度)などはタイムリーといえる。
その一方で、シニアにターゲットを限定しないハイロフトドライバーもこの秋、相次いで登場する。テーラーメイドの『バーナープラス』は、アベレージ層を広くカバーするドライバーだが、13度をラインナップする。
「9.5度のSや10.5度のRがボリュームゾーンであることに変わりはありませんが、なかにはハイロフトを期待している人もいるので、われわれとしても持っている必要があります」(テーラーメイドゴルフ・喜田眞氏)
また、ピンの『ラプチャーV2』は、ツアープロまで対象にするクラブだが、ロフトは13.5度まで用意されている。
「低スピン、高弾道で飛ばすためにロフトは大きくなる傾向があります。また、パワーに関係なく、ハンドファーストだったり、打ち方によって球が上がりにくい人もいるので、シニアでなくてもハイロフトが合う人はいます」(ピンゴルフジャパン・岡田健二氏)
これまで12度超のドライバーというと、いかにも非力のイメージが先行し、見栄も手伝ってほとんど見向きもされなかったが、球が上がるという意味では一理ある。低い球筋に悩む人は、一度試してみる価値はあるかもしれない。
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