バブル期は一般的だったゴルフ場のキャンセル料=直前の予約キャンセルや無断キャンセルに対する“課金”も、バブル崩壊後はあまり見かけなくなった。それがこのところ復活、あるいは新たに導入するコースが増えている。そのワケとは?
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キャンセル料の徴収は請求書を送るだけ。
この方式、関東でも通用するか?(中央都留CC)
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千葉県の上総モナークCCでは、3年前からプレー前日の午前中までに連絡せずキャンセルした客から、1組2万円のキャンセル料を徴収している。
同CCでは、「バブル崩壊後に廃止していたのですが、当日キャンセルが増え始め、結果、キャンセル待ちのお客様がプレーできないケースが多くなったので、そうした動きに歯止めをかけるために復活しました。決してキャンセル料を徴収することが目的ではなく、キャンセルは早めにご連絡いただきたいということです」と説明する。
そして、直前キャンセルや無断キャンセルが増え始めた背景には、ネット予約の普及があるとも語る。やはり電話で直接言葉を交わさないネット予約では、迷惑がかかるキャンセルにも罪悪感が薄いのだろうか。
そこで復活させたキャンセル料だが、同CCが属する千葉県南部・安房地区の22コースでは、当時、同制度は2コースでしか導入されていなかった。それが今や6~7コースにまで増えたという。
ジャパンPGAGCもその一つで、今年5月から、(土日祝の)プレー3日前の正午以降のキャンセルには、一人につき2000円を課金している。
こうした動きは、外資系大手のPGMグループにも見られる。同グループ広報によれば、現状は「傘下のゴルフ場で導入しているコースはごくわずかだと思います」とのこと。印象では、1割ほどに過ぎないようだ。それを、基本的に全ゴルフ場で導入するべく、目下準備中なのだという。
「どのクラブにも歴史と文化があるので、一斉にとはいかないでしょうが、制度の趣旨をご理解いただければ、導入されると思います」(広報)
同グループでこの制度導入の先鞭をつけたのが、山梨県の中央都留CCだ。同CCでは10月1日から土日祝のプレーに関しては、4日前までに連絡のないキャンセル者から、メンバー1500円、ビジター2500円を徴収することになった。
導入を決めたのは、昨年まで岐阜県のゴルフ場に勤務していた仙田和久支配人。仙田支配人は「岐阜県ではどのゴルフ場も実施していたので、こちらで導入されていないことに、まず驚きました」という。
しかも、雨の日には無断キャンセルが数組出るのが当たり前という状況に、「お客様に対して失礼ですが、マナーの問題だと思いました。ゴルファーのマナー違反をゴルフ場が認めてしまえば、それがなし崩し的になって、いずれはクラブ運営の足を引っ張ることにも……」と危機感を持ち、さっそくこの春、理事会にキャンセル料導入を提案した。
確かに無断キャンセルはコースにも他の利用者にも迷惑をかける行為で、ゴルファーとしてのマナー違反だ。利用者にその自覚を促すには、きちんと決められた制度が必要なのかも。それゆえ、理事会も支配人の提案を即承諾。また、利用者に告知しても、不満の声はまったく聞かれないという。
ところで、キャンセル料の徴収だが、予約者に請求書を送付するだけ。それでも、仙田支配人の前任コースでは支払われないケースはなかったという。やはり、ゴルファー側に後ろめたい気持ちがあるのだろう。
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