日本の不動産バブルが崩壊してから、ゴルフ界に影響が出始めたのには1~2年の時間差があったが、9月中旬に始まったアメリカの金融危機の影響も、ゆっくりだがアメリカのゴルフ界に影を落とし始めている。
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ケニー・ペリーが優勝したメモリアルトーナメントは
モルガン・スタンレーがスポンサーだった
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実は、アメリカの不動産価格で最も下落した州はカリフォルニアとフロリダだった。そして、この2州はアメリカ最大のゴルフ州でもあるのだが、これは決して偶然ではない。
2年ほど前までのアメリカの不動産ブームのなかで、コースの隣接地に不動産開発をする新設コースが注目され、作る前から投資会社や投資家が殺到し、売れまくっていたということがあった。
もちろんゴルフコースだけではないが、こうした物件が、不動産価格の急落により、不良債権となり、サブプライム問題を引き起こしたのだ。
日本でもそうだったが、不動産バブルがはじける前に売りきってしまった新設コースはまだしも、バブルの後で作られた新設コースは、かなりの打撃を受けている。
そんななか、アメリカでは、例えばニューヨーク近郊では、日本円で100億円を超えるようなバブリーな新設コースが続々建設されていた。
ウォールストリートで働くエクゼクティブなどを狙った新設コースだ。サブプライム問題が表面化した後でも、こうしたバブリーなコースの人気は高かったのだが、それがここにきて少なからず退会者が出るという話も飛び出している。
世界の景気全体の雲行きが怪しくなったために、ここでも打撃を受け始めた。
それはPGAツアーでも例外ではない。以前にも書いたが、トーナメントのスポンサーから、自動車産業が撤退するなかで、代わって主役に登場していたのが、金融系の会社だった。
バンク・オブ・アメリカによるメリルリンチの買収、ワコビアのウェルズ・ファーゴによる買収とビッグニュースが続々飛び込んできているが、なんとこのなかのウェルズ・ファーゴを除く3社が、PGAツアーのスポンサーとなっているのだ。
そして早くも、ワコビアのスポンサー継続が危ぶまれたりもしている。
表にあるように、金融系では、PGAツアーで12社、チャンピオンズツアーで6社、LPGAでは4社がスポンサー契約を結んでいる(カード会社などは除く)。
PGAツアーでは、「金融系企業との契約の約75パーセントは、2012年かそれより先までの契約期間となっているし、また、それ以前の契約でもスポンサーを降りたい、といった話は聞いていない」(J・ポダニーPGAツアー副会長)としている。
また、T・フィンチェム・コミッショナーは、「私達は、ツアーの価値を保つために、ゴルフに投資する企業と連絡を密にするなどできる限りのことをやるつもりだ。そして、今回の危機を最小限のダメージで乗り切りたいと願っている」と、語っている。
契約期間が残っていても、会社が潰れたり、吸収されたりしてしまえば、現実的にはその継続は難しい。
実際、噂のあるワコビアなどは、2014年までの契約が残っているのだが、すでに従業員を7000人近くも解雇している。
ウェルズ・ファーゴに吸収されて、さらなる解雇もありうるシナリオの中で、ツアーのスポンサーを続けられるかどうかには疑問が残る。男女、シニアツアーも含めて、今、ツアーは大きな転換期にきているのかもしれない。
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