先日、大分地裁で、大分市内のゴルフ練習場からのツーピース練習場用ボールの打球音に対して訴訟を起こしていた住民4人への騒音被害を認める判決が出され、関係者の間で大きな波紋を呼んでいる。コトの顛末とは――。
問題の練習場は同市猪野にあるスイングアケノゴルフパーク。営業時間は朝6時30分から夜10時まで。220ヤード、打席数48席(1階・2階各24打席)というから、中規模の練習場。
同パークは2006年、閉鎖したゴルフ練習場を再利用して営業を開始した。しかし、オープン当初から付近の住民によって「打球音がうるさい」との苦情が入り始め、練習場側が具体的な対応策を取らなかったため、打球音で安眠が妨害されたとして4人の住民が1人当たり100万円の慰謝料を求めて訴訟を起こした。
判決では、住民1人当たりに約3万円の支払いを命じた。法曹関係者の話によると、ゴルフ練習場の騒音被害が認定されたのは、全国でも初めてのケースではないかという。
同パークの佐藤圭吾さんは、「練習場として再開した時、一般的な練習場で使われている練習球ではなく、実際にコースで使う“本球”を採用しました。この辺りには本球を使っている練習場はほとんどなく、お客様にとって、それがメリットになると思ったのですが……」
しかし、今回のケースでは、大分市が定める騒音防止条例の騒音規制値50デシベルを超える最大で72デシベルが測定されたというから、思った以上の大きな音を発していることになる。
ボールメーカーは、今回の判決をどう見ているのだろうか?
同パークが使っていたボールは、練習場用のいわゆるダンゴボールではなく、ダンロップの「ツーピースレンジDDHソフト420」だったが、同ボールを発売しているSRIスポーツは、
「そのボールは、現在、全国の練習場でごく普通に使われているものです。コースボールではありません。今回の大分のケース以外に、特に他の練習場で、ボールの打球音が問題になっているという話は、今のところ全く聞いていません。ですから、われわれメーカーとしては、コメントのしようがありませんね」(広報グループ課長・山田照郷氏)
今回の判決に対して、同パークでは控訴をするかどうか、検討中としているが、いまや新しい動きとしてウレタンカバーのボールを導入する練習場も増えている。また、今回のケースは周辺環境のせいもあるのでは、としたうえで、単純にボールだけの問題ではなく、チタンの大型ヘッドのせいもあるのでは、と語る業界関係者もいる。
周辺環境という意味では立地条件もあるし、近隣住民とコンセンサスがとれているかという話もある。打球音の高いチタンの大型ヘッドは、いまも高反発クラブを使うゴルファーも少なくない。
とまれ、練習場にとっては“想定外?”の今回の事態、今後の動きが気になるところだ。
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