テーラーメイド・アディダスゴルフ社(以下テーラーメイド)が、ゴルフウェアの米国アシュワース社を買収する計画を発表し、このニュースが話題を呼んでいる。アシュワースといえばプロゴルファーのフレッド・カプルスが会社創立メンバーに名を連ねていたアパレルメーカー。何が起こったのか。
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“ゴルフマン”の、このマークはどうなる?
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これはテーラーメイドが、アシュワース社の発行されている全株式を1株1.9ドルで公開買い付けするというもので、これにアシュワース社も同意したというもの。
まだ、買収が成功したといえるわけではないが、大株主もテーラーメイドへの売却に同意していると伝えられている上、このニュース発表直前の10月10日時点での終値がナスダック市場で1.73ドル(このニュースを受けて21日には1.84ドルまで上昇)であったことから、この買い付けは成功するものとみられている。
全株式の価値は7280万ドルとなるが、これにはアシュワース社の負債4630万ドル(7月末時点)も含まれている。
もともと、「アシュワースは、堅実なゴルフウェアのブランドで、テーラーメイドとアディダスゴルフに素晴らしい価値を付け加えてくれる」とアディダス社のヘルベルト・ハイネル会長が語るように、ゴルフウェアとしてはよく知られたブランド。
同社は1987年に創業され、フレッド・カプルスをブランドの顔として、当時シャツ衿のまだ固いイメージのあったゴルフウェアを、よりリラックスしたものに変え、ゴルフウェアを普段でも着られるカジュアルウェアに変えた火付け役ともいえるブランドだ。
しかし、タイガー・ウッズの出現とともに、ゴルフウェアがより体にフィットしたものに変わってゆくとともに、昨今の不況もあいまって、このところ赤字が続いていた。
実際、3年前には13ドル前後まで値上がりしていた株価も急落しているし、今年第3四半期でも960万ドルの損失を計上しており、昨年同期の560万ドルの損失を大きく上回っている。
「(テーラーメイドと)ともに我々は、より効果的にゴルフアパレル事業を前に進めることができるし、財源、人材等のてこ入れをすることができる」とはアシュワース社のアラン・フレッチャーCEOだが、アシュワースにしてもこの段階での構造改革が必要だったのだろう。
片やテーラーメイドとしても、アシュワースの持つ「高級ブランド」のイメージとともに、その販路やノウハウがプラスになるものと見たのだろう。
気になる日本への影響は、「買収が終わった時点で、本社と相談して決めてゆくことになるのだろうが、まだ何も決まっていない」(テーラーメイドゴルフ・マーケティング部)ということで、すべては、まだ先の話ということになる。
ただ、アシュワースは、米国ではテーラーメイドのライバルともいえるキャロウェイ社とのライセンス契約をもっており、これがどうなるのかも気になるところ。
来春ごろには、徐々に明らかになってゆくのだろうが、一世風靡したゴルフブランドだけに、今後の動きにも目が離せない。
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