日本女子ツアーも、今週行われるミズノクラシックから最終戦のリコーカップまで残り4戦。賞金女王レースも佳境に入った。韓国のイ・チヒが2位の福嶋晃子らを一歩リードする女王レースに、金融危機による「円高」がどう影響するかを追った。
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今回の超円高、只今1位のイ・チヒ(右)、2位福嶋のどっちに見方する?
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昨年、マスターズGCを終えた時点で賞金ランキングトップの上田桃子と2位の横峯さくらの差はわずか1000万円差。女王争いは熾烈を極めていたが、その後のミズノクラシックで、上田が米ツアー初優勝を飾り、女王争いで横峯に大きく差を広げた試合となった。
今年は、イ・チヒがマスターズGC終了まで、同ランク2位の福嶋晃子に2400万円の差を広げている。この差を縮めるには高額賞金大会のミズノクラシックが、追いつく絶好のチャンスとなる。
ミズノの賞金総額は140万ドル。優勝賞金もドル建てだ。大会概要には、仮りの換算値として1ドル110円で、優勝賞金は賞金総額の15パーセントの2310万円と書かれている。現地点(11月1日)で2400万円差の福嶋が優勝すれば、一気に並ぶチャンスだ。
8000万円台の古閑美保や横峯さくらにも差を縮めるチャンスが巡ってくる。横峯は、「早く1勝して、チャンスがあれば狙いたい」と女王の座をまだまだ諦めていない。
それが、世界の金融市場に大きな影響を与えることになった「リーマンショック」の影響で、為替レートは日替わりの乱高下。10月24日には一時90円台まで円は急騰し、80円台に迫る勢いだった。
仮りに1ドル90円になったとしたら、同大会の優勝賞金はおよそ1890万円に目減りしてしまう。賞金トップのイ・チヒに追いつこうとする、2位以下選手の目論見も期待外れとなるわけだ。
今年は、ドル安でアメリカから日本に来るのはお金がかかるため、ミズノクラシックに出たいと思わなかったのか、米ツアーの有名選手の出場は少ない。先日のカパルアLPGAクラシックで優勝したモーガン・プレッセルやメジャーを制したヤニ・ツェン、インビー・パークに、久しぶりに日本ツアー登場のシン・ジエくらい。
昨年上田が優勝した以上に、日本ツアー選手が優勝を狙えるチャンスは高いはずだった。それなのに賞金は円高のため安くなる。
円・ドル相場は8月中旬に110円だったのが、超円高が進み、その頃から20円近くも上がったために、優勝賞金は400万円以上も減ってしまった今大会。逆を言えば、イ・チヒが優勝しても、2位に大差を広げることができないので、最終戦まで逆転の可能性が残り、女王レースは面白くなるとも言えるわけだ。
10月29日には1日で2円以上もドルが戻すなど、為替市場はまだ安定していない。昨今の円の乱高下で投資家が1円で泣き笑いするだけでなく、ミズノクラシックの結果いかんでは女王レースの泣き笑いが最終戦まで見られるかもしれない。
ミズノクラシックの最終日の翌日、賞金は11月10日(月)の為替市場の始値で換算される。女王レース上位者の優勝はもちろん、為替レートにも注目が集まる1戦となる。
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