国内男子ツアーの救世主・石川遼のプロ転向後初のツアー優勝。本人ももちろん大喜びだろうが、それと同じくらい大喜びなのが石川遼契約のスポンサー、関係者たちだ。各方面から聞こえてきた反応を追った。
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プロ転向後の初優勝。本人もスポンサーも大喜びだったが……
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まずはテレビ朝日系列で放映されていたマイナビABCチャンピオンシップ最終日の視聴率。3連休のちょうど真ん中の午後2時からの放映で、外出している視聴者も多かったのにもかかわらず、関東で9.4パーセント(ビデオリサーチ調べ)を記録した。
これは、開幕戦で石川遼が優勝争いを演じた今年4月の東建ホームメイトカップ(テレビ東京系列)が最終日にマークした10.1パーセント(同上)に次ぐ今季の男子ツアーとしては2番目の数字だ。
マイナビABCでは、石川遼がウォーターショットにトライして、クライマックスを迎えた18番のシーンでは、瞬間最大視聴率は12.8パーセントにまで跳ね上がった。
都内の大型電気店では、陳列されているテレビの前で足を止めて観戦する人が何重もの人垣を作っていたというから、放映時間帯によっては、もっと高い視聴率を叩き出せただろうという関係者の声もある。
一方、石川の所属先のパナソニックは、「成長を見守る意味で5年の長期契約をしましたが、正直、こんなに早く優勝するとは想像していませんでした」(イベント推進室室長・西貝氏)と驚きを隠さない。
「彼の優勝を社員全員が喜んでいます。優勝後、社員のみが見られるイントラネットに石川選手から感謝の気持ちを伝えるメッセージが届けられました。これから彼は世界へ向かって行くと思いますが、わが社もグローバル化に向かってがんばっています。そういう意味でも社員も『僕らの遼くん』という意識で応援しています」(前出)と言う。
同社は世界戦略を踏まえて三洋電機の買収を発表した直後ということもあり、石川の快挙が社員のモチベーションを高める形になったようだ。だが、当面、CM等で石川を起用するかどうかは白紙とのこと。
石川と用具契約を結ぶヨネックスは、10月の日本オープンでの2位を受けて応援感謝フェアを展開した直後の快挙で、新たな対応に追われている。
「11月13日から12月3日まで、応援感謝フェアを再び開催します。まだ数字的なものは出ていませんが、特にウェアに関する問い合わせが増えて、反応がいいですね。各地の小売店さんが盛り上がっているようで、どんなフェアをやるのか期待されています」(企画宣伝部長・山本氏)
同社では、所属契約を結ぶ若林舞衣子が10月のSANKYOレディースでツアー初優勝を飾ったばかり。同社の玄関には石川と若林のパネルが飾られ祝勝ムード一杯という雰囲気に包まれている。
契約関係はないとはいえ、優勝時に石川が使っていたボールメーカーのブリヂストンの対応はどうなのだろう。千載一遇のPRチャンスだと考えられるが、こちらは意外に温度は低い。
「ここしばらく当社のボールを使っていただいているという話は聞いておりますが、なにぶん何の契約もしておりませんので、当社からコメントする立場ではないのです。使用クラブと当社のボールとの相性が良かったのでしょうね」(ブリヂストンスポーツ広報室長・嶋崎氏)と動きを見せる様子はなく、局外者の立場を通すようだ。
優勝の翌日に発売の記者発表をした「石川遼プロ優勝記念フレーム切手」の関係者も大慌てだ。当初は8月の関西オープン優勝のシーンのみで10枚の切手セットをフレームに入れて発売する手はずだったが、発表の前日の快挙で、急遽5枚をマイナビABCチャンピオンシップのカットに入れ替えることになった。
次々と最年少記録を塗り替える石川の活躍で「マスターズ招待の可能性もあるのでは」という声も聞こえてくる。
現在、石川は自宅(埼玉県松伏町)の近くに2500坪ほどの土地を借り、トレーニング施設を併設した3ホールのミニコースを造成中だが、それを請け負った業者によれば、グリーンはオーガスタ並みのスピードが出せる芝を張るとのこと。
来年3月に完成予定の新拠点はオーガスタへの道となるのだろうか――。
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