11月9日に終わったチルドレンズ・ミラクルネットワーククラシックをもって2008年米ツアーは終了したが、この大会で、44歳のデービス・ラブIIIが大復活。今季は45歳のビジェイ・シンが賞金王となる一方で、ヨーロッパツアーの2009年開幕戦では、28歳のセルヒオ・ガルシアが優勝し、タイガー・ウッズに次いでワールドランキングのナンバー2に。タイガー・ウッズ不在のなか、ビッグネームたちが、ここにきて気を吐いている。
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シードは獲って当たり前、50歳を過ぎてもメジャーに勝ちたい、とラブIII
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まず、なんといっても注目されたのが、米ツアー最終戦、ウォルト・ディズニーワールドで開催されたチルドレンズ・ミラクルネットワーククラッシックで優勝したラブIIIだろう。
何しろ、秋季シリーズ直前までは来季のシードも危ぶまれていたラブが、この勝利でツアー20勝目を挙げ、生涯永久シードを獲得したからだ。
ただ本人は、「永久シードがどういう意味を持つか、考えないようにしていた。かつて永久シードを獲得したプレーヤーたちと、(自分の年齢のことを考えると)今の自分とは異なっている」と、率直には喜んでいないようなのだ。しかし、といって先がないと考えているわけではない。
「20勝は、21、22、あるいは23勝するために乗り越えなければならない通過点。そうした意味で、今回の勝利は大きな意味がある」ということになるのだ。
ラブIIIは、プレーオフの最終戦が終わった時点で、賞金ランキング155位。2003年のプレーヤーズ選手権優勝の5年シードも、2006年のクライスラークラシックの2年シードも今季限り。つまりは、秋季シリーズでランキング125位以内に入らないと、来季の出場が苦しい崖っぷちの立場になる可能性が高かった。
実際、今季秋季シリーズまでは、ベスト20に入ったのが、全英オープンでの19位タイのみ。昨年、プライベートでゴルフをしている際に、穴に足を踏み入れて、左足首の二つの靭帯を切断するというアクシデントがあり、その後手術をしたこともあって、スランプに落ち込んでいたのだ。
「家族サービスやコースデザインなど、休んでいる期間は、それなりに充実していた」と、何やらタイガー・ウッズと同じようなことを語っていたが、タイガーと異なるのは、
「自分はどうしても練習をし過ぎてしまう。タイガーのように基本に戻って、繰り返し練習をすればいいのだろうが、自分は、どうしてもそうした基本の練習に飽きてしまい。細かい点で、どこが悪いのかと考え過ぎてしまうし、練習をし過ぎてしまう」と、ナーバスな一面ものぞかせていた。
ただ、足の回復とともに、調子は徐々に良くなっていて、勝てなかったのは、ただ単に、すべてがかみ合わなかっただけという。だから本人は、「125位以内に入ることなんて、まるで考えていなかった。トーナメントには、ただ勝つためにプレーしていた」と語っているのだ。
来季は、親友のフレッド・カプルスがキャプテンを務めるプレジデンツカップに出場するつもりだというし、全英で優勝争いをした53歳のグレッグ・ノーマンのように、50代になっても、メジャーに勝ちたいと思っている。
ラブIIIにとっては、永久シードは眼中になく、プレーをし続ける限り、シードは獲れるものと思っており、それだけの自信はあったということなのだ。
実際、秋季シリーズに入ってからは、ターニングストーンで3位タイ、ジャスティンティンバーレークで6位タイ、フライズドットコムオープンで11位タイと最終戦を前にシード圏内に入り、最後の優勝で賞金ランキングを118位から一気に48位に上げている。
ワールドランキングでも、166位から76位に急浮上した。今回の優勝は、秋季シリーズということで、マスターズの出場権は得られなかったが、完全復調ということで、本人も周りも、来春の活躍は当然のものと思っている。
もう一人、このツアー最終戦で注目を集めたのが、スポンサー招待で出場したエリック・コンプトン(28)というプレーヤーだ。
半年前に2度目の心臓移植手術を受け、3つ目の心臓を胸に、Qスクールの第1予選会を合格したことから話題となっていた。
この試合では、最終日は72でラウンドして、結果は60位タイ。何やら、頑張っているのは、20代と40代のプレーヤーばかり。働き盛りの30代のプレーヤーはどうしたのだろうか。
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