厳格な倶楽部運営がなされ、ビジターは平日でもメンバー同伴でなければならない廣野ゴルフ倶楽部(兵庫県)。同GCで、来年2月、市民ゴルフ大会が開催される。この種のイベントが同倶楽部で開催されるのは非常に珍しい。背景には、やはり公益法人の公益性が問われる法律の施行があったのだろうか。
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名門・廣野が初めて門戸解放。但しプレーはメンバー同伴で
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廣野GCがある三木市は、市内に25ものゴルフ場を抱える“ゴルフの町”。このゴルフ環境を謳歌し、市の活性化につなげるべく、市内在住と同市の会社に勤務する人を対象に2年前に三木市ゴルフ協会(入会金2000円)が設立され、昨年3月から2カ月に1回、順次ゴルフ場を借り切っての市民ゴルフ大会を開催してきた。最近は、毎回定員をオーバーする盛況ぶりである。
同協会では、設立2周年を記念して「記念大会」を企画。12月2日~20日にかけて市内24のゴルフ場(定員各20人)で予選を行い、各会場の優勝者24人による決勝大会を来年2月に、廣野GCで実施することにした。
担当の三木市文化スポーツ振興課によれば、「協会の会長さんが廣野のメンバーさんで、今回はせっかくだからとご手配くださいました」とのこと。
しかし、廣野といえば厳格なメンバーシップ運営がなされているところ。一般ビジターには敷居が高い雲の上のゴルフ場。市民ゴルフ大会に会場を提供するには何があったののだろうか。
「いえいえ、ゲストの皆さんは、通常どおりメンバーの同伴プレーとなります」(廣野GC)とのこと。聞けば、当日は主に三木市民のメンバーに協力してもらい、各組に同伴してもらうというのだ。協会側にスタート枠を提供し、ビジターに開放するというわけではなかった。
ただし、今後については「兵庫県ゴルフ連盟からの要請もありますし……」と公益性に応える可能性もにおわせていた。
一方、プレーさせてもらえる市ゴルフ協会側の反応だが、“廣野効果”があったのか、ここにきて入会者が増えている(現在790名強)。しかし、大会の申し込み者数については、「事前に予想したほどではありませんでした」(文化スポーツ振興課)とのこと。
そして、申し込みをしなかった人のなかには、「自分の腕前では、たとえ予選に優勝したとしても廣野でプレーするにはちょっと、とためらった人が少なからずいたのでは」とも推測する。
ところで、ほかの社団法人の名門クラブでは、こうした市民大会のような公のイベントに協力しているのだろうか。
「地元の埼玉県と狭山市のゴルフ大会には、以前から会場を提供しています。ほかにも、狭山市ゴルフ協会の大会に協力したり、地元近隣の自治会の皆さんを割引料金でご案内したりも」(東京GC)
「地元・川西市のゴルフ大会や周辺3市の合同大会のほか、毎月第4休場日は地元のゴルファーにプレーしていただいてます」(鳴尾GC)といったように、どの名門クラブも地元のゴルフ振興に協力している。
廣野と並ぶ厳格さで知られる程ヶ谷CC(神奈川県)でも、過去に市民ゴルフ大会を開催している。
また、社団法人ではないが名門の千葉CCでは、地元・野田市の在住・在勤者のビジタープレーを受け付ける「市民優待」の日を設定している。
「あまり知られていないようですが、以前から地域に根付いたクラブ運営をしています」(千葉CC)。
名門クラブも案外地元とは親密なのだ。こうなるとますます廣野の特殊性が浮かび上がるが、今後はどのような運営になるのだろうか。
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