「メガマック」や「メガ牛丼」などファストフード業界で始まったメガブームがゴルフ業界にも押し寄せるか。火付け役はマルマンから発売された『メガ・シャトル』。400ccドライバー並みの投影面積を有する3番ウッドは、まさしくメガスプーンと呼ぶにふさわしい。
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大きいことはいいことだ!? 右は170ccサイズの従来品
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ドライバーのヘッド体積は10年余りで約2倍の460ccになった。その一方で、フェアウェイウッドの体積は、ほとんど変化が見られない。地面から打つクラブは大きさが邪魔になるというのが最大の理由だ。しかし、ここにきてそんな業界のタブーに挑戦するクラブが現れた。
『メガ・シャトル』の3Wは、体積が230ccでひと昔前のドライバーと同等。さらにトウ・ヒール方向、ヘッド後方にストレッチされたシャローデザインのため、投影面積は現在の400cc級ドライバーに匹敵し、慣性モーメントもやはり400cc超級の4000gc㎡に達する。従来の常識から考えると異様とも思える大きさだが、発想は最近の大型ドライバーと同じだ。
「ヘッドスピードが遅いアベレージゴルファーでもやさしく飛ばせる3Wを目指しました」(マルマンゴルフ・桑木野洋二氏)
重心深度を深くして、打ち出し角を大きく、かつ球の曲がりを抑えているのはドライバーと同じ手法。ドライバーとの違いは、重心がやや高めに設定されていること。これは、「スピンを多くしてさらに球を上げやすくするため」(桑木野氏)だ。
いち早く『メガ・シャトル』を試打したクラブ設計家の高橋治氏も、「アマチュアの場合3Wよりも5Wのほうが飛ぶという人も多いが、それはロフトの小さい3Wだと球が上がりきらないため。その点、これは3Wでも5Wの弾道で飛んでくれます」とそのメリットを認める。
では、メーカーがこれまで大型化を躊躇してきたデメリットはどう解決されたのか。
「ヘッドの後ろがたれてダフリやすい、つかまりにくいといった欠点は重心設計を見直すことで解決しています」(桑木野氏)
これに対して高橋氏は、「ヘッドスピードが速くなくて払い打つ人のためのクラブ。スウィングが速い人はソールの後ろがダフりやすいし、ダウンブローの人がシャローな3Wを使うとダフリやトップなどミスが大きくなります。また、シャローな分ソールが平らなのでライが悪いところでは使えません」と使い手と状況を選ぶクラブと指摘するが、実はその割り切りこそ大切と続ける。
「過去のクラブはたくさん売れるようにターゲットをぼかしていたが、セグメントを細かく分けた方がより効果が出せます。これからもっとターゲットを絞ったクラブが出てくる可能性はあるし、むしろメーカーは作るべき」(高橋氏)
200ccを超える3Wには、ほかに『スウォードiZU MAXスナイパー』(230cc・カタナゴルフ)、『r7CGB MAX』(202cc・テーラーメイド)、『インプレスGRXパワースプーン』(201cc・ヤマハ)、『SQ SUMO2』(200cc・ナイキゴルフ)などがあるが、
やはり「デメリットよりメリットの方が大きい」(カタナゴルフ)、「小さな3Wを求める人には他のクラブを用意している」(テーラーメイド)などメーカーはターゲットをはっきりさせている。『エッグスプーン』(プロギア)のような異形3Wも含め、今後、この手のクラブが気になるところだ。
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