石川遼は小学校の卒業文集に、将来の目標として「20歳でマスターズ優勝」と書いたという逸話があるが、優勝はともかくとして“出場”は、ここにきて夢ではなく、実現可能な目標に近づいてきた。常識をはるかに上回るスピードで成長する石川遼の来季マスターズ出場の可能性を本誌がシュミレーションしてみた。
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遼くんがマスターズで闘う姿が見てみたい!
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前述の「20歳でマスターズ優勝」の目標だが、ネットの情報では「20歳までにマスターズ出場」とトーンダウンして紹介するところが多い。オトナたちが「あまりにも夢物語すぎる」と、より現実味のある目標に変えたのだろうか。
ところが、いまや「20歳までにマスターズ出場」は目標でも何でもなく、注目は来年出場できるかどうかとなった。17歳での出場となれば、アマ時代のタイガー・ウッズの19歳を超え、プロとしても最年少出場となるはずだ。
カシオワールドの成績次第で、より現実的な数値が出てくるだろうが、大会前の現時点で、石川遼がマスターズに招待されるには、まず年末、あるいはマスターズ前週発表のワールドランキング(以下、世界ランク)で50位以内に入ること。
来季米ツアーで優勝すること。そしてもうひとつ、マスターズ委員会から特別招待される、という手もあるにはある。
世界ランクだが、ポイントの算出方法が複雑な上に、シーズン中の欧州やアジアンツアー選手との比較もあるので、算出ソフトを入手しない限り、オフィシャルの発表までわからないのが実状。
しかし、ダンロップフェニックス後に、石川のランクが117位から67位にジャンプアップしたのは、同大会にE・エルスやI・ポールターといった上位ランカーがいたため。試合ごとに配分されるポイントに加え、現下の上位ランカーや前年末の上位ランカーが出場すれば、さらに配分ポイントが増すからだ。
その点、海外の上位ランカーが出場しないカシオワールドと日本シリーズでは、稼げるポイントは限られるが、どちらかで勝てば、50位以内突入の可能性が大といわれている。
次に、マスターズ前週での50位以内入りには、米ツアーに参戦してポイントを稼ぐのが最も現実的。例年、多くの日本選手が出場するソニーオープンについては、周辺の関係者が「まったく考えていない」と否定。となると、次はWGCシリーズのビッグ大会。
実は石川遼の目線は、2月末の世界ゴルフ選手権・アクセンチュアマッチプレーに向いているようなのだ。世界ランクの上位64人(昨年は65位の選手までが出場)に入れば出場できるので、石川遼は間もなく圏内。そのためか、彼自身、最近は世界ランクの変動を気にしているという。
アクセンチュアについて、父親の勝美氏は「今の実力では通用しないでしょうけど、いい経験になるので、出られるのであれば行かせたい」と前向きだ。そして、出場して勝ち進むようなことがあれば、ポイントの大きな試合だけに、世界ランクの50位以内は見えてくる。
最後に、奥の手の特別招待だが、日本向けのテレビ中継のプロモート関係者が石川遼の特別招待を、マスターズ委員会に強力に働きかけているといわれる。
だが、マスターズに詳しいゴルフジャーナリストの吉川英三郎氏によれば、「日本選手では片山晋呉と今田竜二の出場が決まっているので、さらに日本人が特別招待される可能性は低いのでは」と否定的。
やはり石川遼のマスターズ出場には、世界ランク50位以内が最も現実的といえそうだ。
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