週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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　世界のゴルフ関係団体はこれまでにことあるごとに、「ゴルフを五輪種目に」と国際五輪委員会（IOC）にアピールしてきたが、国際ゴルフ連盟（IGM）は11月14日、他のスポーツ団体と共に、初めて公式に訴えかけた。この訴えにはタイガー、ミケルソン、シン、オチョアなどプロゴルファーの錚々たるメンバーもビデオで登場し、“本気度”をアピールした。

「オリンピックに出たい」と、タイガー

　IGFのメンバーでR＆A（英国ゴルフ協会）チーフエグゼクティブのピーター・ドーソン氏は、スイスのIOC本部で行われたプレゼンテーションで2016年の五輪でゴルフを正式種目にするよう要請した。

　ドーソン氏は、「ゴルフは国際競技であり、人種の多様性がある」「経済的な貢献、チャリティ活動に積極的に取り組んでいる」「スポーツを通じて若者の教育とその継続性にコミットしている」などを挙げた。

　このプレゼンテーションでは、ゴルフの正式競技入りを支援するトッププレーヤーのビデオが紹介されている。

　このビデオは、ロレーナ・オチョアから始まり、フィル・ミケルソン、ビジェイ・シン、セルヒオ・ガルシア、アンソニー・キム、日本勢では今田竜二も出演している。そして最後にタイガー・ウッズが登場。このなかでタイガーは、こう宣言する。

「私はゴルフでオリンピックに出たい」。この豪華なメンバーを見ればゴルフが正式種目に選ばれてもなんの不思議はない。

　ドーソン氏と同席したPGAツアーのタイ・ボトウ氏は次のように話している。

「ゴルフは本当の意味でインターナショナルのスポーツだ。世界120カ国に6000万人のプレーヤーがいる。年齢に関係なく、このゲームの素晴らしさを広げる努力は続いており、その輪はさらに広がっている」

　そして、「今回のプレゼンテーションは、初めての公式ステップだった」と強調する。

　今後の予定としては、来年5月までにIOC側からの運営のための細かい質問を回答することで、それが正式な要請となる。それまでにIGFはトッププレーヤーと相談して試合のスケジュールなどを詰めるという。

　日本ゴルフ協会（JGA）国際委員長の川田太三氏はこの間の事情を次のように分析する。

「ゴルフの五輪種目化は20年越しの悲願でもある。PGAなど世界のゴルフ関係5団体が、ドーピング問題で足並みが揃い、IOCの出している条件に応えられたことがその背景にある。委員会に出席した印象でいえば、可能性はかなり高いといえる」

　2016年の五輪開催都市の決定が来年10月に迫るなか、東京都の招致委員会・企画広報部門ディレクターの松尾崇氏は次のことをアピールする。

「競技会場の7割はすでにある会場を利用し、大会運営には税金を使わない。また経済波及効果は全国で2兆8000億円にもなるので、日本中が元気になります」。

　おりしも11月末の新聞報道では、IOCのロゲ会長が「現状の経済情勢を考えると今後の五輪は経費削減が必要」と明言している。

　もし、日本で開催されれば、石川遼や宮里藍といった夢のようなチームとタイガーらとの激闘を間近で見られることになる。ぜひとも実現を願いたいところだ。