国内ツアーは終わっても、トッププレーヤーのオフはもうちょっと先。今週末には男女各ツアーと男子シニアの賞金ランキング上位が一堂に会する日立3ツアーズ選手権が開催される。日本女子プロゴルフ協会(LPGA)では、同大会も含む、オフの協会イベントへの参加を義務化、欠場者には100万円の罰金を課す規定を設けていたが、先頃その一部を選手側の要望に応じて撤回した。
LPGAでは、同協会から代表選手が出場・出席する、3ツアーズ選手権をはじめ、日韓対抗戦、来年からシーズン後の開催となった女子ワールドカップ、そしてこの14日に行われるLPGAオフィシャルファンクラブ交流イベントについて、各出場辞退者(賞金ランク上位から選出)に100万円の罰金を課す規定を設けていた。
ところが、同交流イベントの出席義務(賞金ランク上位20名)については、1カ月以上も前から選手の間で不満がくすぶり、規定の撤回を要求する声が上がっていた。一部には、署名運動の動きさえ見られた。
選手側の理由は、「賞金ランク上位選手にとっては、長いシーズンとハードな賞金女王争いが終わってようやくホッとしたところに、3大会に加え、ファンクラブイベントまで義務化されては体力的にきつい」というもので、選手側の自主性に任せてもらいたいと主張する。
しかし、一部のツアー関係者からは「3大会は試合なので義務化も納得できるでしょうが、交流イベントはカード会社が協会のスポンサーとなって作った、オフィシャルファンクラブというカード会員のためのイベント。オフィシャルとはいっても、結局は一部のカード会員のためのパーティですから、それが義務化というのはどうでしょう」と選手の本音を代弁する声も。
そこでツアー最終戦のツアー選手権の前夜祭会場で、選手側が協会にこの罰金制の撤回を要求、長時間の交渉の末、選手側の要望が受け入れられることになった。
いわゆる大衆団交の様相だが、こうした交渉で協会の規定が即時変更されるのは非常に珍しい。今回の交渉について、出席したある選手は、
「協会には、選手のことをもっと考えてほしいという思いを伝えました。今回は協会側が歩み寄ってくれたので、今後は協会と選手側がよりいい関係になっていくと思います」と語った。
一方、選手側に譲歩したLPGAは、「もともと罰金を課すことが目的ではなく、多くの選手に出席してもらうことが規定の主旨。ですから、選手にその主旨を理解してもらえればいいことなので、規定を変更しました」(事務局)とのこと。
これで円満解決かというと、どうもそうではないようだ。あるツアー関係者は「もともとは他の3大会の罰金制にも不満があったんです。今回はとりあえず交流イベントの撤回で納得した形になっていますが、来年は3大会とも12月に実施される可能性があり、時期が近づけば不満が再燃することも」と、依然火種が残っていることを口にする。果たして、来年も団交となってしまうのか。
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