タイトリスト社を傘下に持つアクシネット社とキャロウェイ社の間に何やら不穏な雰囲気が流れている? 米国のゴルフボール市場でもっとも人気があるとされるタイトリスト・プロV1をめぐる特許問題で、両社の関係が、単なるライバル関係を超えて、険悪なものになっている。
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どうなる?プロV1
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1カ月ほど前になるが、米国のゴルフ界を震撼させたのが、「来年1月1日からプロV1シリーズのゴルフボールは販売中止」という米国デラウェア州の地方裁判所が下した判断だ。
これは、キャロウェイ社が持つ4つの特許をプロV1が侵害しているとして、キャロウェイ社が要求していた販売中止を裁判所が認めたもの。
実際には、今年の9月以来、米国ではこの問題とされる特許部分を使用していない改良型のプロV1が販売されていることから、販売や使用が禁止されることはない模様だが、キャロウェイ社は、「世界中のゴルファーのため、革新的な製品を開発するために、数百万ドルの調査開発費を投資している」(同社スティーブ・マクラケン副社長)ということで、「ゴルフ界のナンバー1ボールは、キャロウェイの技術の上に作られている」という広告を大々的に展開したのだ。
これに対して、タイトリスト側も、問題の特許はキャロウェイ社がスポルディング社を買収した際に得たもので、そのスポルディング社が特許を申請する以前からプロV1は販売されていたとして、特許は無効と反論。何やら泥試合のような展開になっている。
日本への影響については、「裁判はアメリカ国内のことで、日本には影響はない。それに来年の3~4月になる可能性があるが、第1四半期には、新プロV1の発売が予定されている」(日本アクシネット・今村太朗商品企画事業部マネジャー)ということで、日本でこのボールが使えなくなることはなさそうだ。
とはいえ、日本で今、販売されているプロV1は、改良型ではない。米国では9月から、問題の特許を使用していない改良型プロV1が販売されているということだが、9月といえば、米ツアーのフェデックスカップが終わった月。
この改良プロV1を使用するプロのトッププレーヤーにどんな影響が出たかもまだわからない。このボールの性能が、これまでと同じであるかどうかは十分に立証されていない。
さらに、タイトリストの反論が認められなければ、1億ドルから1億5000万ドルとも噂される和解金をキャロウェイ社に支払わなければならない可能性もある。
日本のキャロウェイ社は、「この問題についてのコメントは差し控えさせていただきたい」としており、多くを語らない。
いずれにしても、ツアーをはじめ、一般市場でも人気のゴルフボールの問題だけに、今後の展開に目が離せない。
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