世界の「プロゴルフ」の中心は、今が夏の南半球に移っている。09年のヨーロッパ、オーストラリアツアーがすでにスタートし、プレーヤー達は年の瀬にもかかわらず頑張っている。そうしたなかで、ランキングの上位の顔ぶれも少しずつ変わってきている。
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09年ツアーの台風の目になるか。上・ステンソン、下・オギルビー
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なかでも、気を吐いているのが、スウェーデンのヘンリク・ステンソン。
前週号でも伝えたが、ワールドカップで、ロバート・カールソンとともに優勝し、賞金170万ドル(1人85万ドル)を獲得したと思ったら、翌週、総額約4億円を12人の選手で争う南アのネッドバンクチャレンジでは、2位のケニー・ペリーに9打差をつけ21アンダーで優勝賞金の120万ドルを獲得したのだ。
「最終日は8打差をつけてのスタートで、楽にプレーができた。好きなバック9でバーディが出るようになった」ということだが、そのバック9では、14番ホールで、3番ウッドのシャフトが曲がり「残りのホールでは使わずにプレー」していたにもかかわらず、スコアを伸ばして楽々逃げ切った。
この試合での9打差という優勝マージンは、1993年にニック・プライスが作った12打差に次いで2番目の大差勝利。21アンダーというのも、アーニー・エルス(99年25アンダー)とプライス(93年24アンダー)に次ぐ3番目の記録。
これでプロゴルフ“年末の賞金王”は、ステンソンにほぼ決定、ワールドランキングも7位とベスト10入りを果たした。ワールドカップとともに、今回の勝利は、ステンソンに自信を与えており、09年にはメジャーのダークホースとなり、大暴れしそうな雰囲気となってきている。
また、ネッドバンクでは、ワールドランキング2位のセルヒオ・ガルシアは5位となっている。ガルシアは先のヨーロッパツアーの初戦となったHSBC選手権で優勝し、ランキング2位に浮上したが、このHSBCでは、ステンソンも2日目までガルシアとともにトップで優勝争いをしていたが結果は5位。ステンソンがHSBCの仇を取った形となっている。
もう一人、こちらは自信を取り戻したといえるのは、オーストラリアPGA選手権に優勝したジェフ・オギルビーだろう。オギルビーは地元オーストラリアで初勝利。
06年全米オープンの優勝者が、母国のオーストラリアでまだ優勝経験がなかったといえば、驚くかもしれないが、オギルビーに言わせると、
「確かにミケルソンもガルシアもウッズもいない。アメリカの試合に比べると、優勝するのが簡単のように思えるかもしれないが、そんなことはない。ワールドランキングの対象は、アメリカでは20数試合に参戦するチャンスがあるが、オーストラリアでは2~3試合しかない。それだけに今回の勝利はうれしい」という。
今季、オギルビーは米ツアーで、春先のWGC・CA選手権に優勝し、次のシェル・ヒューストンオープンで2位となったが、目立った成績はこの2試合だけで、あとは鳴かず飛ばず。
プレーオフの最終戦にも残れなかった。今回の勝利でワールドランキングでは11位となり、トップ10入りを果たせなかったが、なんといっても全米オープンに加え、WGC2勝と大きな試合に強いオギルビーだけに、母国で自信を取り戻したことの意味は大きい。
ワールドランキングといえば、年末時点と大会1週前の50位までが、マスターズに招待されるが、日本の石川遼は、今田竜二を抜いて62位となったものの、50位には及ばなかった。
しかし、今年はランキング438位からの大躍進。来年3月中旬までに、海外で頑張れば、まだ可能性がないわけではない。
来春まで、日本の試合はないが、海外ではまだまだ、ランキングを一つでも上げようと、多くのプレーヤーが頑張っている。そういう意味で石川遼にも、チャンスは世界に広がっている。
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