来年2月に開催が予定されていたインドマスターズの中止が決定された。ヨーロッパツアーとアジアツアー、そしてインドツアーの共同開催であるこのインドマスターズ。世界の金融危機とムンバイのテロ事件のあおりを受けて、開催中止が発表されたのだ。
折も折、日本シリーズでは、ジーブ・ミルカ・シンが日本での2勝を含めて、今季4勝目を挙げ、インドのゴルフが俄然注目された。シンは昨年、インド人として初めてマスターズに招待されており、今季の活躍を踏み台として、今後の海外のメジャーなどでの活躍が期待されていた。
シンが中心になる形で、インドでのゴルフブームが起こりそうな雰囲気も出ていただけに、インドマスターズの中止は、水を差す形となったようだ。
「私達は2009年の第2回インドマスターズが確実にプレーできるよう、やるべきことをすべてやってきた。しかしながら、現在の経済の不安定さと安全確保の問題とがあいまって、試合を開催することが不可能になった」とこの試合をプロモートする『ゴルフ・イン・ドバイ社』のCEOであるモハムド・ジュマ・ブアマイム氏は語る。
「ヨーロッパツアーが初めてインドで開催されたこの試合は、インドのプレーヤーたちに、世界のトップ選手とともに、その技術を磨く機会を与えるものだけに、2010年には、必ず開催できるものと信じている」としている。
つまり、どうやら試合が中止となった直接の原因は、スポンサーが見つからないということのようで、加えてムンバイのテロ事件で、試合を開催するには、お金をかけてセキュリティを強化する必要がある上、テロを恐れて選手が集まらない可能性もあるということで、一層、スポンサー探しが難しくなったということのようだ。
ヨーロッパツアーの最高責任者のジョージ・オグレディ氏は、「我々は彼らが直面している経済的な挑戦や冠スポンサー探しの難しさを理解しているつもりだ。10年にはふたたびヨーロッパツアーのスケジュールに載るものと楽観視している」と語っている。
今回の金融危機で、インドも例にもれず、経済発展の減速を余儀なくされている。が、中国とならび人口が多い分だけ、インドは世界のゴルフ人口増にポテンシャルを持っている。それだけに欧米のゴルフ界は、熱い視線を送っている。
今回の大会中止は、金融危機やテロといった世界情勢と無縁でなくなったゴルフが置かれている、現実の象徴といえるようだ。
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