2005年10月にゴルフ場事業に参入してから、わずか2年8か月で相武CCなど12コースを取得しながら、今年7月に全コース売却を表明していたパシフィックホールディングスグループ(略称PHI)。その後の経過を追った。
全コース売却表明時点で保有していたのは、東軽井沢GC(現・松井田妙義CC)、相武CC、25メンバーズクラブ琵琶池C(現・琵琶池GC)、福崎東洋GC、金砂郷CC、ジャパンPGAGC、加茂GC、西武系3コース(箱根くらかけゴルフ場、おおむらさきGC、吉井南陽台GC)、新東京GC、ミルフィーユGCの全12コース。
PHIは上場のファンド運営会社としては2~3番手の規模で、証券界での知名度は2大外資のアコーディア・ゴルフやPGMよりは上。それでも、今苦戦を強いられている不動産業界の企業だけに、せっかく12コースも取得したが、ゴルフ界からの撤退はやむを得ないところだったのだろう。
会社側は福崎東洋とジャパンPGAは随縁グループに、加茂は韓国系のBANDOグループに、それに新東京は個人投資家に売却済みであることは認めたが、他の8コースの状況については「ノーコメント」。
そのPHI、実は今証券界ではかなり注目を集めている。年末に200億円の社債償還を控え、当初お金を出すはずだった大和証券が辞退。中国系のファンド「中柏ジャパン」から調達することになったからだ。
この「中柏ジャパン」なる会社を作り、中国の投資家から資金を集めるのは、あの産業再生機構の代表だった冨山和彦氏が代表を務める経営共創基盤。
冨山氏以外にも産業再生機構ゆかりのメンバーが集結しており、伊藤忠商事や住友商事以下、経営共創基盤の株主は超有名企業ばかりがずらりと顔を揃える。ぴあと業務資本提携を締結したり、商工中金とも提携関係にある。
今回「中柏ジャパン」から調達するのは総額476.5億円。12月19日に6.5億円、12月29日に270億円、そして来年2月末に200億円と、分割で入ってくる。ただし、お金を出すのは経営共創基盤の株主たちではなく、あくまで中国の企業。
ファンドで集めようと言うのだから当然実名は明かされていない。しかも「中国政府の許可が必要」というあたりが話題になっているのだ。
「首尾良く調達できれば、残った8コースは減損も実施して簿価を下げてあるので、あわててムリに売らずに済む可能性もある」(証券関係者)という。
とはいえ、売却の可能性が消えたとは言えない。ゴルファーにとっては、所属コースは経営が安定している会社に経営してもらいたいもの。
今後の動向が気になるところだ。
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