風邪かな、といった程度なら、多くの人が市販の風邪薬でも飲んで早めに寝て治そうとするのでは? ところが09年からは、ツアー選手はそうはいかないことになる。風邪薬をはじめ市販の大衆薬のなかにはドーピングの禁止成分が含まれた商品が少なくないからだ。
ゴルフの競技会におけるドーピング検査は、国内では日本ゴルフ協会が2年前から日本アマなどの公式戦で検査を実施してきたが、プロツアーでは男女とも09年から抜き打ち検査の実施を予定している(男子は実施予定。女子は数試合で実施されることが決まっている)。
もちろん禁止薬剤さえ使用しなければ何の問題もないのだが、昨年末の日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の選手総会で行われたアンチドーピング・セミナー(昨年は計5回開催)の資料を見ると、そこにはテレビCM等でお馴染みの風邪薬がずらりと並んでいるのだ。
例えば、いわゆる興奮効果があるメチルエフェドリンを含む風邪薬には、エスタックイブ、改源、パブロンゴールド錠、ベンザエースカプセル等々。
また、漢方成分の麻黄にはやはりエフェドリンが含まれるため、カコナール、葛根湯といったいわゆる漢方系の風邪薬、さらには固形浅田飴クールも禁止リストに挙がっている。
漢方薬=天然素材、だから問題ないといったイメージがあるのだが、「漢方薬には、成分が明記されていない商品もあるので、より注意が必要です」(LPGA事務局)。
また、浅田飴クールはのど飴感覚で、つい口にしてしまいそう。だが、これからはプロゴルファーたる者、うかつに手を出せない。
といってもこちらは、「いずれの成分も蓄積されるものではありませんから、試合のないオフの間は服用しても問題ありません」と語るのは、LPGA公認ドクターの小暮堅三医師。また、風邪薬に含まれる禁止成分は微量なので、検査当日に服用していなければ検査には抵触しないだろうが、万が一を考えると、シーズン中は避けること、と語る。
なんといっても、検査で陽性となった場合の制裁が、1回目から「1年以下の出場禁止(2回目は同5年以下、3回目は永久追放)」という、場合によっては非常に重いペナルティとなる。慎重に対処するしかない。
風邪薬のほかに、せき止め薬、頭痛薬、下痢止め、ジンマシン薬、花粉症・鼻炎薬などの市販薬にも禁止成分が含まれる商品が多い。気になる人は、この手の薬を購入する際には、医師や薬剤師に相談したほうが良さそうだ。
また、サプリメントのなかにも禁止成分が含まれた商品があるので、こちらも専門家に相談した方が良いとのこと。プロゴルファーにとっては、いろいろと面倒な時代になったものだ。
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