石川遼が“トーナメントの頂点”と位置づけていたマスターズから、特別推薦での出場が決定した旨の連絡が1月22日の夜に自宅に届いた。特別招待当確の連絡が届くまでの“マスターズフィーバー”を追った。
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『予想外のサプライズでしたが、精一杯がんばります』と石川遼
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マスターズは、小学校の卒業文集に「マスターズ優勝は僕の夢」と書いていたほど石川遼にとって特別な存在のトーナメントだ。目標は「20歳までにマスターズに勝つ」ことだが、まずは第1のステップとして出場権を獲得しなければならない。
マスターズ委員会の推薦ではなく、自動的に出場権を得るためには、昨年12月末時点でワールドランキング50位以内に入っていなければならなかった。
プロ初優勝を飾った昨年のマイナビABC選手権直後(11月4日)に更新された同ランキングは212人抜きのジャンプアップをしたものの127位と、50位以内のマスターズフリーパスには遠く及ばないものだった。
にわかに50位以内が視野に入ってきたのは、その3週後にダンロップフェニックスで単独2位になってからだ。
同ランキングは、大会に出場している選手のランキングも加味して算出されるため、海外の強豪選手が多数参戦していたこともあり、石川遼の同ランキングは一挙に67位へと大躍進。カシオワールド、日本シリーズの成績次第では、マスターズへの自力出場もあると期待が高まった。
が、「もし2週連続優勝すれば」という厳しい条件でもあり、結局60位までランキングを上げたものの“目標”の50位には届かず、石川は昨シーズンを終えていた。
しかし、これまでもマスターズ委員会は、50位に限りなく近い注目選手を特別推薦として招待してきた実績があるため、石川はその枠に入る期待を相当高めていたようだ。
オフに入って、用具契約を結ぶヨネックスのCM撮りを行ったが、それは今年4月以降にオンエアが予定されているもので、石川は「もしオーガスタにいて、CMが見られなかったら、カッコいいですね」と冗談まじりで笑っていたものだ。
布石も着々と打っていた。
「もしマスターズに出られるようなら、その前に数試合アメリカツアーに出ておいたほうがいいと思い、各方面にお願いはしています」と父の勝美氏は昨年から語っていた。
2月25日から開幕するWGCアクセンチュアマッチプレー選手権は、ワールドランキング64位以内が出場資格で、欠場者が出た場合は順次繰り下がるため、石川の出場はほぼ確実だが、“根回し”が功を奏したせいか、3月19日から開催のトランジション選手権への参戦が正式に決定している。
それに加えて、2月19日から開催のノーザントラストオープンと3月26日から開催のアーノルド・パーマー招待への出場も決定した。
マスターズ委員会は、「若い有能な選手を世界に披露するチャンスでゴルフの発展を目指す我々の目的に合致する。若い選手たちのやる気や、アジア地域などでのゴルフへの関心が高まるはず」と石川の招待枠について説明している。
「この招待が来るまではスケジュールがまったく入ってなくて、トレーニングの日々だったんですけど、こんなに素晴らしいスケジュールになるとは嬉しいですね」という石川だが、もしその4試合のなかで上位フィニッシュが続けば、そのまま米ツアー常駐の可能性もある。
石川は、「もしマスターズに出ても翌週の開幕戦、東建ホームメイトカップには出ます」と明言しているが、相当にきついスケジュールになりそうだ。
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