沸騰せんばかりの“石川遼フィーバー”のなか、クラブ、用品契約先のヨネックスもまた売り上げアップで、こちらもフィーバーが続いている。マスターズ開催週から同社のテレビCMが流れるというタイミングのよさも手伝って、このフィーバーはさらにヒートアップするのは必至。石川遼と契約して丸1年、一体いかほど儲かったのか。そして09年は? ヨネックスの思惑に迫った。
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ニューモデル・ナノブイネクステージ・タイプ460(左)と遼くん使用のタイプ430
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08年の同社ゴルフ部門の売上げは、クラブ、アパレル、アクセサリー類を合わせて約20億円で前年越えを達成。前年比数パーセントとはいえ、業界全体の売上げが落ち込んでいるなかで大健闘といえよう。
業績好調の牽引役はなんといってもウェアで対前年比400パーセントという大幅な伸びを記録した。ヨネックスには開幕戦直後から石川遼着用のウェアに関する問い合わせが相次ぎ、後半戦尻上がりに調子を上げ、獲得賞金を積み重ねるのと比例するかのようにウェアの売上げも伸びた。
「石川遼が活躍した翌日は着用したウェアに関する問い合わせが殺到、石川遼の勝負色の赤のパンツや白のパンツは年間を通じて特によく売れました」(ヨネックス企画宣伝部長・山本美雄氏)
また、石川遼モデルとして限定発売したアイアンセット『サイバースターフォージドCB』は、当初予定の1000セットがすぐに予定数量に達したため、急遽1000セットを増産することになり、合計2000セットを売り切った。
クラブ全体の売上げは横ばいだったが、主力の『ニューナノブイ』シリーズがフルモデルチェンジして実質2年目だったにもかかわらずこの数字。しかも『サイバースターフォージドCB』にいたっては製造中止になっていたモデル。
08年モデルの販売不振で09年モデルの発売を前倒しせざるを得なかったライバルメーカーからすれば羨ましい限りだろう。
そして、今年はアメリカ挑戦。ヨネックスもそれ以上に大きな飛躍を目論んでいる。
先週行われた新製品発表会の席上、米山勉社長はゴルフ部門の販売目標として対前年比185パーセントの37億円という数字をぶちあげた。
その内訳はクラブが31億円(08年実績約18億円)、用品が6億円(08年実績約2億円)。強気の理由は、ブランドイメージが一気に全世代に広まったことだ。
「(ヨネックスの)カーボンヘッドには飛ばない人向けのイメージがあり、高価格だったことからシニアに多く支持されてきましたが、石川遼プロのお陰で若い世代に関心を持っていただけるようになりました」(山本氏)
フルモデルチェンジされた『ナノブイネクステージ』シリーズは、ドライバー2機種、アイアン3機種などのほかレディスモデルもリリース。
このうち、もっともホットな『タイプ430ドライバー』や『ツアーフォージドアイアン』は、既存モデルを使用してきた昨年とは違って、正真正銘の石川モデル。また、ウェアも新たにデザイナーを迎え入れるなど従来以上に力を入れている。
米国で話題になりマスターズで活躍しようものなら、石川遼クラブ、グッズはさらに注目度が増すはず。ヨネックス、いよいよ世界進出なるか?
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