アーノルド・パーマーをホストに迎え、50周年記念の大会が開催された先週のボブホープ・クラッシック。しかし、ワールドランキングのトップ10のプレーヤーで出場を予定していたのは、わずかアンソニー・キムの1人だけ。そのキムも大会直前に棄権。昨年末には、T・フィンチェムPGAツアーコミッショナーが、不況のなか、ツアーを盛り上げるために、プレーヤーたちにもっと試合に出るように檄を飛ばしたが、一体どうなってしまっているのか?
|
ミケルソン(左)の3試合欠場は予定どおり?昨年メジャー2勝のハリントンは欧州ツアーに出場
|
先のソニーオープンでも、ワールドランキングのトップ10で出場していたのは、ジェフ・オギルビーとカミロ・ビジェガスの2人だけ。
オギルビーとキムは、開幕戦のメルセデスベンツ選手権で、それぞれ1位、2位タイという好成績で、ワールドランキングのトップ10入りを果たしたので、昨年末のランキングという点では、トップ10のプレーヤーはビジェガスただ1人しか参戦していない。
昨年の終盤戦で活躍したビジェガスやキムが、「自分のゴルフのステージが一つ上に上がった感じ」(キム)と勢いそのままに、序盤戦から飛ばしてゆこうというのはわかるが、その分キムは飛ばし過ぎて、体調を崩してしまったようだ。それに引きかえ、ビッグネーム、トッププレーヤーたちは、メジャーを中心にスケジュールを組み、米ツアーの通常の試合からは、距離を置くようになってしまっていることは、否めそうもない。
そんななかで、今年は欧州ツアーのほうが注目度が高くなってしまっているのだ。
ワールドランキング2位のS・ガルシアは、「レース・トゥ・ドバイ(欧州ツアーのプレーオフ)が、今シーズンから始まったことで皆がエキサイトしている。過去3年、欧州ツアーでは12試合前後プレーしていたが、幸運にも昨年末の開幕戦HSBCで勝てたので、今季は15試合前後に出たいと思う」と語り、今年の初戦をアブダビ選手権で飾っている。
同じアブダビに参戦し5位の成績を収めたP・ハリントンも、「アメリカのプレーヤーを欧州ツアーに引き付けるのは難しいかもしれないが、レース・トゥ・ドバイは、欧州のプレーヤーはもとより、オーストラリアや南アのプレーヤーなど、明らかに国際的なプレーヤーが欧州ツアーに戻ってくる動機を作っている」とアメリカ離れを指摘している。
実際、ボブホープと同じ週に開催されたカタールマスターズには、ガルシアをはじめ、L・ウエストウッド、H・ステンソン、J・ローズ、ハワイから飛んできたA・スコットやE・エルスなど、ワールドランキングの上位陣が名を連ねている。
欧州のプレーヤーにすれば、ハワイやアメリカ西海岸は遠い。アメリカのプレーヤーたちのように自家用ジェットを持っていれば別だが、近場で大きな試合があるとすれば、そちらの方を選んでしまうのは、仕方がないのかもしれない。
それに不況対策として、欧州ツアー育ちのプレーヤーは、自分を育ててくれたツアーに恩返しをする気持ちもあるはずだ。
そうした意味では米ツアーに出ないアメリカ人のトッププロたちに批判が集まるのかもしれないが、ランキングトップにいるタイガー・ウッズの場合は仕方がない。
順調なひざの回復を見せ、2月中に復帰するのではという噂も流れたが、復帰するのは3月に入ってからというのが、大方の見方だ。
そのタイガーがホスト役の昨年末のシェブロン・ワールドチャレンジで昨年の賞金王V・シンも右ひざを痛め、この14日に間接の軟骨の手術を受けて約3週間の休場となっている。
「数日間は松葉杖が必要ということだが、長い目で見れば、ひざは今までより強くなるのだから、まったく問題ない。シーズンの初めで良かったよ」(シン)とかで、今はAT&Tペブルビーチでの復帰を目指して調整中。
ワールドランキングでハリントンにも抜かれて4位となってしまったP・ミケルソンは、あくまでマイペースで今週のFBRオープンから今季のスタートを予定している。
これで、アメリカの星ともいえる彼が、序盤戦で活躍してくれればよいが、ボロボロなら、批判の声が彼に向けられるのかも?
|