「アジア太平洋スーパーシリーズ」と呼ばれる6試合のゴルフトーナメントが今年からスタートすることが決まった。これは中国、韓国、オーストラリアが共同で開催するもので、今後のアジアのプロ競技に大きな影響を与える可能性があることから、注目されている。その一方、日本のJGTO(日本プロゴルフツアー機構)やこれまでのアジアツアーはこの大会に賛同しておらず、波紋を投げかけている。
今年開催される6試合というのは、4月16日の中国オープンから始まって12月のオーストラリアPGA選手権までの6試合で、中国、韓国、オーストリアのナショナルオープンに加え、この3国を代表するようなメジャーな大会で構成されている。そしてさらに来年は試合数が拡大する予定という。
「アジア太平洋地域のプロトーナメントは、共同して道を切り開いてゆく必要がある。このシリーズは、この地域におけるプレーヤーたちの豊かな進路を開発するだろう」とマックス・ガースケ・PGAオーストラリア会長が語れば、
韓国PGAのウック・セオンギー副会長も、「私たちは今日、ゴルフ史の転換点に立ち会っている。アジア太平洋スーパーシリーズは、この地域のトーナメントをより高いレベルにしてゆくのにも役立つことになる」と語っている。
話を聞く限りでは、良いことずくめで、実際的にも、アジアのゴルフ界に貢献してゆくことになるのは間違いなさそうだ。
しかし、実はこのシリーズには、アジアツアーもJGTOも関係していない。
JGTOの試合でもある北京オープンがこのシリーズの試合となっていることから、当初、アメリカのスポーツチャンネル局が、日本のJGTOも賛同していると報じたが、これは誤りで、
「JGTOとしては困惑しているのです。これと似たようなシリーズとして“ワンアジア構想”があり、JGT0も3年ほど前にこれに署名しており、今でもこの構想は生きているのですが、JGTOには知らされずにオーストラリアや韓国などが今回のスーパーシリーズを作り出し、動き出しているからです。日本のトーナメントのスポンサーもアジアをマーケットにしようという意向を持つところがあり、JGTOの試合をアジアで開催してゆこうという方針はあるのですが、これまでのつながりから、これからもアジアツアーと協力してゆくつもりです」とJGTO広報部の田中賢治氏は語っている。
中国ゴルフ協会のチャン・シャオニン副会長が、「このエリートトーナメントのシリーズは、長期間をかけ計画・準備されてきている」としていることから、ある意味、ワンアジア構想をもとにしてスーパーシリーズが作られたとも推測できる。
だからこそ、日本のツアーでもある北京オープンをこのシリーズに組み入れたのだろう。しかし、年間を通じたツアーとして既に定着しているアジアツアーや日本のツアーを、現実に組み入れるとしたら、その調整は難しく、後進ともいえる3国がとりあえず、6試合でシリーズを立ち上げたというのが実状なのかもしれない。
いずれにしても、世界不況の折、自国の有力選手などが海外に流出するなかで、アジアの各試合の主催者たちが大きな危機感を持っていることは間違いがない。
アジアツアーにしてもJGTOにしても、スポンサー離れが進むなかで、試合数を減らさずに、ツアーを維持してゆくためには、国際化や他のツアーとの共同主催や協賛は不可欠のものになりつつあるということなのだろう。
このスーパーシリーズ、今後日本のツアーにどのような影響を与えてゆくのかが注目される。
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