来年、クラブ開場50周年を迎える横浜CC(36H)では、改めてドレスコードなどのマナーから利用約款まで38項目にも及ぶ「ハウスルール」を定め、それを明記した印刷物をメンバーに送付した。細かなハウスルールの制定は、ビジターには敬遠されそうなのだが、各ゴルフ場が集客に腐心する今なぜ……? その狙いを聞いてみた。
|
マナー違反が問われるなか、横浜CCのハウスルールは他コースにも波及するか
|
ゴルフ場事業協会が昨年末に発表した集計データによれば、07年度の全国ゴルフ場の延利用者数は、前年度比0.9パーセント増の8902万人。微増ではあるが、3年連続での増加となった。しかし、今08年度は年度後半に一気に深刻化した不況の影響で、厳しい数字が予想される。そのためゴルフ場としては、経営上、ビジター客を少しでも多く呼び込みたいというのが本音だろう。
そうしたなか、横浜CCでは38項目もの細かなハウスルールを改めて制定した。そのなかには、プレー前日の12時以降の直前キャンセルについては、同一年で3回目からはキャンセル料(1人当たり、平日5000円、土日1万円)を徴収するといった新たな厳しい規定も盛り込まれている。
「当クラブでは“クレド”(信条)という運営哲学を制定しておりまして、今回のハウスルールは、もともとそのクレドに沿った具体的な事項を明文化し、メンバーに告知したものです。ルールとはいっても、内容はドレスコードなどマナーやエチケットに関することありますし、利用案内のような内容も含まれています」(中本岩男支配人)
中本支配人によれば、ハウスルールにはクラブ規約や利用約款(95年頃制定)から、例えば緊急避難経路のようなハウス内に掲示してある注意事項的なことまで網羅。
そうした“決め事”をメンバーに再確認してもらうためのもので、ゲストへの啓蒙にも活用できるもの――結果的にゲストにとっては利用手引書にもなる内容らしい。一般に考えられるルール=規則とはちょっと違うようだ。
古くからのメンバーが圧倒的に多い同CC(メンバー数2850人。平均年齢約67歳、80歳以上が約400人)は、マナー違反の増加が問題になっているということはない。だが、セルフコースをはじめ、多くのコースでマナー違反は大きな課題になっている。
こうした現状を、ゴルフジャーナリストの田野辺薫氏は、「かつては先輩が後輩に、メンバーが自分の連れてきたゲストに、マナーを厳しく教えたもんだけど」と憂いたうえで、「ビギナーがプレーしやすいパブリックコースほど、本来はルールやマナーにうるさくなくちゃいけないんだけど、実際はパブリックほどルーズなところが多いのでは」と指摘する。
確かに、横浜CCが制定したマナーまで網羅した“利用手引書”は、これが本当に必要なところでは、作られていないのかも知れない。
|