再生手続き申立から1年。昨年の「関東倶楽部対抗」優勝クラブとして知られる東千葉CC(36H)で、民事再生が変更になり更生手続による再建が動き出し、“混乱”にようやく終止符が打たれようとしている。この1年の迷走ぶりを追った。
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千葉ではアスリート系会員が多いことで有名だったが……
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昨年1月、東千葉CCの経営会社である(株)東千葉カントリー倶楽部(以下HCC)が申し立てたのは、予めスポンサーを決めておくプレパッケージ型の民事再生手続。スポンサーは吉澤信孝氏率いるロイヤル航空グループ傘下のJGMなる会社だった。
これに反発したのが一番抵当権者。コースを施工した熊谷組が持っていた債権を、担保ごと取得したゴールドマン・サックス(以下、GS)系のファンドが、会社更生手続の開始を申し立てた。が、この申立はスポンサーがGS系ファンドの債権を取得することで話がつく。
その結果、昨年7月、退会会員へは7パーセントを一括弁済、継続会員に7パーセントを10年据え置きの新預託金とする計画案が可決された。
だが、その後、JGMと、実はその背後にいた金主の韓国系企業・サイカンとの間でトラブルが発生。サイカンから弁済原資の払い込みがなかったとして、JGMが再生計画通りの返済を履行出来なくなって、東千葉CCは破産の危機に。
このため、今度はJGMが会社更生手続の開始を申立て、これにサイカンが反発するという展開になってしまった。
サイカンの主張は、もともとJGMからは、韓国系企業に対しては会員が根強いアレルギーを持っているから、表には出ないで欲しいと言われていたが、借地権、株式の引き渡しと既存取締役の辞任を含め、全ての経営権を無条件で引き渡すことが条件だった。
再生計画認可決定後、GS系ファンドからの債権買取に28億円、HCCの前経営者である高橋孝次氏保有の東千葉CC会員権74口の取得に16億円など、合計約50億円を拠出する一方、HCC社の全株引き渡しを受けた。
ところがその後HCCが別の個人会員を引受先とする増資を実施した結果、サイカンの持株比率が25パーセントに後退。その上、JGMから新たに10億円の業務委託報酬を請求されたので、昨年12月19日に支払うはずだった、退会会員への返還原資となる資金の払い込みを留保したという。
これに対しJGMは、もともとサイカンは投資家の一人にすぎず、HCCの大株主の一人として経営には関与しないことで合意しており、破産への移行によってコースが競売になればサイカンに有利になるので、更生手続を申し立てた、というもの。
1月30日付で東京地裁が保全管理命令を下ろしたので、約1カ月ほどで更生手続の開始決定が出る可能性は俄然高まった。
今後は財産管理も経営も、全て保全管理人に選任された綾克己弁護士が掌握する。HCCの旧経営陣も、JGMも一切経営に関与出来なくなり、サイカンだけは1番抵当権を持つ債権者の立場で関与するだけになる。
改めてスポンサー選任手続をやり直すのかどうかなど、今後のスケジュールは「開始決定も下りていない段階なので未定」(綾弁護士)だが、「コースのスタッフは極めて優秀だしコース管理も抜群。
雰囲気もいいのでまっとうなスポンサーによる一日も早い再建を望む。何はともあれ、混乱の原因になった当事者が経営から退いてくれるのは大歓迎」という会員の声が、大多数の会員の声を代表していることは間違いないだろう。
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