日ごとに新情報が飛び交い、石川遼の周辺がにわかに慌しくなってきた。石川遼に、6月のメモリアルトーナメントからも招待状が届いていたのだ。石川はその栄誉に歓喜するも、今回は国内ツアーの公式戦を優先し、辞退の返事を送っていた。もったいないとも思うが、そう決断した胸の内を探った。
メモリアルトーナメントといえば、ジャック・ニクラスがメジャーに並ぶトーナメントにすべく、76年に創設した大会。例年タイガー・ウッズをはじめ、米ツアーの有力選手はこぞって出場。加えて、欧州ツアーからも名だたる選手が招待される。
そのなかに今年は石川遼の名が加わったのだ。これで彼は、アーノルド・パーマーに続き、ニクラスにも見染められたことになる。
「メモリアルは日本ツアーの賞金王と日本オープンの優勝者を招待する内規になっているようです。ですから、今年は片山晋呉プロも招待されたと聞いています。石川プロと同じく、国内ツアーを優先して辞退したようですが」(日本ゴルフツアー機構・山中博史専務理事)
ということは、メモリアルトーナメント、つまりニクラスは石川を賞金王レベルの日本を代表する選手と評価したようだ。
しかし、今回は同時期に国内メジャーの日本ゴルフツアー選手権と日本プロが開催されるため、メモリアル挑戦は断念した。石川の決断について父・勝美氏は次のように語る。
「『遼はとても光栄なこと。すっごい出たいな~!』と悩んでいましたが、結局、日本の試合を選択しました。私は行かせたかったですし、遼ももちろん行きたかったと思います。(しかし、最終的に)遼が自分で日本のツアーに出ると結論を出したことは、正しい選択だと思います。彼が今、こうして活動できるのは、先日亡くなった島田(幸作)さんをはじめ、日本のツアーや選手の皆さんのおかげですから。メモリアルトーナメントには、いずれ自分の実力で行けばいい、と思っています。そして、直接ジャック・二クラスに、今回の事情とお礼を伝えたいと思っています」
日本と世界の狭間で難しい選択を迫られることは、今後何度もあるに違いない。選ばれし者の嬉しい悲鳴といったところか。
なお、石川は先の日本ゴルフトーナメント振興協会の新人賞の副賞で、今後希望する米ツアー戦への推薦出場を受ける権利を獲得している。彼がどの大会を選ぶのか注目したい。
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