ゴルフファンの目が米ツアーの石川遼に集中していた先週の16日。日本ゴルフツアー機構(JGTO)は定例理事会後の会見で、今季のツアー賞金総額(37億1000万円・25試合)が、複数の大会から賞金減額の打診があったため、最終的には5~10パーセント縮小するという見通しを発表した。賞金の減額は初めてのこと。
会見の冒頭、JGTOの小泉直会長は、「実は先ほどもあるところ(ツアー競技主催企業)から、『どうしても賞金減額をしたく……』とご連絡をいただきまして、事態は日を追って悪化している状況です」と苦渋の表情を見せた。
そして語られたのは、賞金総額がツアー最高の2億円の大会を中心に、数社から減額の打診を受けており、数日中には正式な届けがあるだろうということ(19日現在、書面の提出はなし)。
また、減額の規模は、現時点では全体の5~10パーセント、額にして1億7~8000万円から多ければ3億7~8000万円になるだろうとの見通しだった。
JGTOの規約では、開催契約締結後に賞金が減額された場合は、減額分の10パーセントを違約金として徴収できることになっているが、これについては、「今回は世界的な不況によるやむを得ない事態と理解し違約金はいただきません」(小泉会長)と語る。
気になる減額大会だが、7試合ある賞金総額2億円大会の各関係者に確認したところ「変更はありません」と返答したのは、日本オープン(日本ゴルフ協会)と11月中旬以降の3連戦、三井住友VISA太平洋マスターズ、ダンロップフェニックス、カシオワールドの計4試合。
残るパナソニックオープン、キヤノンオープン、レクサス選手権からは明確な否定のコメント、または確認が得られなかった。
この3試合は、いずれも昨年始まった大会。大会創設に際しては、前日本経団連会長でJGTO理事の奥田碩氏の強いバックアップがあったと伝えられた。この3大会で歩調を合わせてスタートしたのであれば、今回も揃って賞金減額の動きがあっても不思議ではない。
懸念されるのは、こうした減額に追随する大会が次々と現れることだ。
しかし、競技運営のある関係者からは、「以前のようにトーナメントが企業の単なる宣伝イベントと考えられていた時代なら、企業の業績が悪化すれば、有無をいわさず中止してたでしょう。それを考えると減額しても大会存続するのは、ツアー開催の社会的意義を理解してのことなのでは……」と、前向きにとらえる声も聞かれた。
また、同日の席上、小泉会長は喉まで出かかっていながら、結局公表を避けたが、昨年12月のツアー日程発表時には入っていなかったKSBカップ開催について「契約に向けて、スポンサーと細部の調整を行っているところです」と報告。順調に進めば来月にも開催が発表される見通しだ。
一方、一部日程発表が遅れていたシニアツアーでは、20日の代議員総会でスターツシニアの開催中止(来年は実施予定)とPGAハンダカップの賞金減額(1000万円減の1億1000万円)が発表された。また、日本シニアプロの日程・開催コースは依然未定となっている。
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