石川遼が米ツアーでデビューしたノーザントラスト。石川遼は予選落ちしてしまった時点で、日本では興味が失われてしまった格好だったが、この試合でフィル・ミケルソンがなんと9カ月ぶりに優勝。ミケルソンの強さは本当に復活したのか。勝因を探った。
不調のためか、昨年の5月にミケルソンがクラウンプラザ招待で優勝して以来、話題に上ることは少なかったが、実はこの間、ワールドランキングで2位から5位にまで後退していた。
今回の優勝でタイガー、S・ガルシアに次いで3位に戻ったものの、どうもまだ完全復活とはゆかないようだ。
というのも、ノーザン・トラストでは1打差で逃げ切ったものの、最終日は1番ホールでイーグルを取り、この時点で2位に5打差をつけていたにもかかわらず、16番のティグラウンドに立った時点ではトップのS・ストリッカーに2打差をつけられる始末。
何より、4日間、63-72-62-72という大波小波の最終日は1オーバーパーで、薄氷の栄冠だった。
「簡単な勝利ではなかった。もっといいプレーをして、そのまま逃げ切りたかったんだけれど。でも16、17番でバーディが取れて、18番でも難しいパーパットを沈めることができた。それは自分にとっては大きい収穫」と語っていたが、一体、昨年のミケルソンから、何が変わったのか。
まず、確実に変わったといえるのが使用クラブだ。実は、「(オフに)ブッチ・ハーモンと、より正確なショットを打てるように、バックスウィングをコンパクトにする練習をしていて」そのために飛距離が落ちることがあり、より飛ばせる新しいドライバーが必要だったという。
契約のキャロウェイとオフシーズンにそのドライバーの開発に取り組み、新しいFT-9というドライバーとビッグバーサ・ディアブロ(スプーン)を今年から使用し始めている。
このドライバーの使用認定がUSGAから下りたのが2月からで、これが間に合わなかったことがFBRオープンでのミケルソンの予選落ちの理由ともされていた。
しかし、テレビ解説者のピーター・コステスは、「ミケルソンはクラブをいじりすぎている」とも語っている。
ドライバーの問題だけではなく、今年最初の3試合では、ミケルソンは、「アイアンのシャフトを替えた。しっくりこなかったから替えたけれど、それでも良くないから昨年使用していたものに戻した。結局、シャフトの問題ではなく、自分のスウィングの問題だった」と語っているのだ。
ノーザントラストをTV観戦して、ミケルソンの体が締まっているのを感じた人も多いかと思うが、クラブを替える一方で、体を鍛えた様子も見えていた。太り体質をスリムに絞り、それがクラブに違和感を感じたり、スウィングが安定しづらくなった原因かもしれないのだ。
この試合中に、ミケルソンは何度もマスターズについて語っていたが、基本的には彼の目はマスターズに向いており、今はまだマスターズに向けて調整期間中といえるのは確かのようだ。
今回の勝利では、まだ完全復活とはいえないが、調子が徐々に上向いてきていることは間違いがない。あとは、マスターズまでに、本当に仕上がるのかどうか、あるいは、不安材料を抱えたまま、マスターズには間に合わないのか?
今後のミケルソンに注目したいところだ。
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