12月決算のPGGIHと、3月決算のアコーディア・ゴルフの第3四半期決算が出そろった。対象期間は昨年12月までなので“リーマン・ショック”後の業績が反映された、初の業績開示。まだその影響は出ていない代わりに、これまで相似形だった2社の業績に、微妙な違いが現れ始めた。
2月13日にPGGIHが公表した平成20年12月決算は、売上高こそ前期比7.9パーセント増収の792億円だったが、営業利益は前期比4パーセント減の128億円。平成21年12月期予想も売上高は横這いの792億円だが、営業利益は1.9パーセント減の126億円。
PGGIHの永遠のライバル、アコーディアはどうか。両社とも、昨年は1~3月の積雪と6月の長雨という天候の影響を強く受けている。両社は決算期が異なるので、PGGIHの決算期と同時期の数字を見て、平成20年3月期の第4四半期の実績から、今回公表された平成21年3月期第3四半期の実績を合計し、PGGIHの業績と比較してみた(表参照)。
結果は売上高では77億円、営業利益でも5億円の差で、アコーディアに軍配が上がった。
売上高の差はまさにゴルフ場運営の売上高の差で、勝負を分けたのはコース売上高だった。同じ平成20年1月から12月までのコース売上高は、アコーディアが前年比14.6パーセントと2ケタの増収だったのに対し、PGGIHは7.7パーセント増。
来場者数もアコーディアが18パーセントと2ケタ増だったのに対し、PGGIHは8.4パーセント増にとどまった。
「ここ数年続けてきた稼働率を上げる努力が実を結んだのだと思う。天候の影響は1年を通じて見れば平準化されるもの。6月がだめでも7月で取り戻せる」(アコーディア広報)
また、営業利益の差の原因は、収入の差だけとはいえない。PGGIHは減価償却費負担がアコーディアに比べてかなり重いのだ。アコーディアの年間の減価償却費負担は26億円前後だが、PGGIHはその1.5倍にあたる40億円。
減価償却費に差が出てしまうのは、有形固定資産の簿価が違うからだ。両社の保有コース数は似たようなものなのに、アコーディアの有形固定資産の簿価が1684億円であるのに対し、PGGIHはその1.3倍近い2147億円。
アコーディアはPGGIHに比べてコース施設を安く買えているということになる。
そのアコーディアの平成21年3月期予想は売上高は前期比14.8パーセント増の890億円で、営業利益は13パーセント増の142億円。
第3四半期までの実績では売上高は前期比15.4パーセント増で、営業利益は前期比6.7パーセント増と若干進捗は遅れ気味だが、営業利益が増益になることはまず間違いない。
「償却費が重いという認識はあるが、コースの改造など投資もかなりしている結果でもある。今期(平成21年12月期)予想は売上横這いで営業減益だが、確実に達成可能な数字、堅い数字として開示している」(PGGIH広報)
追いかける立場のPGGIHに追われる立場のアコーディア。1年後、両社の差はどうなっているのだろうか。
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