タイガー・ウッズの復帰第1戦となったWGCマッチプレー。第1回戦は順当に勝ち進んだが、2回戦でティム・クラークにあえなく敗退。本人の語る言葉とは異なり、左ひざの手術のため、8カ月も休んでいたことの影響が出ているのではと、懸念されている。タイガー復帰の背景を追った。
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マッチプレーではアイシングしていたが、マスターズまでに体調は完全回復するのか?
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タイガー本人の敗戦の弁は、「ショットの調子は良かった。ただ(勝つには)十分なバーディが取れなかっただけ。それがマッチプレーというもので、調子が悪い時でも勝てることがある」と、あくまでポジティブ。
問題のひざについても、「まったく痛みはない。(歩いて)カート道路を下りる時でも、痛みはなく調子がいい」と語っている。
しかし、実際にはひざに氷嚢を当ててアイシングしていたり、ひざの負担を軽くするためか、1回戦のドライバーでのティショットは3回だけだったのだ。
アメリカのゴルフのインターネットサイトでは、タイガーのニュースウィングという形でアイアンショットの紹介していたが、ここでもひざの負担を軽減するために、スタンスを狭くとり、スウィングがコンパクトになっていると解説されている。
昨年、よく着ていた体にフィットする服を着ていなかったことから定かではないが、筋肉が落ちて、ちょっと脂肪がついているような気がしないでもない。待望の長男が生まれたことで、幸せ肥りではないかなどともささやかれているのだ。
タイガー本人が語った唯一のネガティブなことといえば、「風などの影響で、距離をコントロールするのが難しかった」という言葉だけ。ひざの氷嚢当ても「痛みがあってしたことではなく、様子見のため」で、長期の休みについても「もっとリズムを作るのに時間がかかると思っていたが、すぐに試合に慣れた。何も変わってはおらず、いつものようにコースに出て仕事をしただけ」と語っている。
ある意味、今回の復帰は、マスターズに向けて試合に慣れておく必要があることから、出場してきたものと思われていたし、それがタイガーの本音でもあったはず。
にもかかわらず、「優勝できると思ったから、試合に出てきている。勝てないと思う試合に出る意味がどこにある」と強気の発言ばかりしているために、体調万全での完全復帰と皆に思われてしまったのだ。
3日休めば、元に戻すのに1週間はかかる、ともいわれるトップアスリートの世界。それを、6カ月近くも練習できずに、8カ月振りに試合に出場してきたのだから、優勝できると考えること自体が間違っているのだろう。
しかし、タイガーの目はすでにマスターズに向いている。今後のスケジュールでは、マスターズまでにWGC CA選手権とアーノルド・パーマー招待にタイガーは出場するものとみられている。
もしそこで勝てればラッキーで、逆に、どんな負け方をしても、マスターズで勝てればそれは帳消しになってしまう。そうした意味で、タイガーの調整がマスターズまでに間に合うかどうかが、今後の2試合の注目点になりそうだ。
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