ゴルフシューズでは、名実ともに世界でナンバーワンのフットジョイ。そのなかでも伝統的なグッドイヤーウェルト製法で作られる革底ソールの『クラシックス』シリーズは、プロ、アマを問わず長年の愛用者も多い。しかし、1カ月後には同シリーズが生産中止になるという。
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堅牢、重厚なクラシックスが消えるのは寂しい
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フットジョイのアメリカシューズ工場は、1857年に設立され、当時革新的だったグッドイヤーウェルト製法による高品質な革靴の生産を開始。その後、1923年からは「フットジョイ」ブランドでゴルフシューズの生産に乗り出した。
グッドイヤーウェルトは、アッパーと中間の細い帯状の革(ウェルト)、細革とソールをそれぞれ縫製する製法で、手間はかかるが、頑丈で履き続けても型崩れしにくい。また、インソールとソールに挟み込まれたコルクがクッションとなるため長時間歩いても疲れにくく、履いているうちにコルクが変形して足にフィットするなどゴルフシューズにはうってつけ。
一度履いたら他のシューズが履けないというファンは今でも多いが、当時も瞬く間に評判をよび、米ツアーでも1945年に調査が開始されてからから現在に至るまで使用率ナンバー1を譲ったことがないほどで、同工場から送り出された製品はゴルフシューズの代名詞となった。
しかし、2月末、日本発売元のアクシネットジャパンは、同工場を4月中旬までに閉鎖し、生産拠点を中国工場に一本化すると発表。これに伴い、同工場でグッドイヤーウェルト製法により作られている『クラシックスドライプレミア』や『同ツアー』などの生産が終了することになった。
フットジョイは『FJリールフィット』『ドライジョイ』『グリーンジョイ』など数多くのシリーズを展開しているが、フラッグシップモデルの『クラシックス』は根強く支持されている。
それにもかかわらず生産中止に踏み切る理由は、「生産比率が5パーセント以下と小さく、また、市場価格も(1足5万円以上と)飛び抜けて高額なこと」(アクシネットジャパン・田中武彦氏)だという。
『クラシックスツアー』はすでに今年のカタログから落とされ、『同ドライプレミア』も今後新たな注文は受け付けず、在庫商品のみの販売となる。また、『クラシックス』シリーズにこだわるプロも多いが、ツアーでの供給も同様の対応で、「同等の製品に切り替えてもらうよう交渉中」という。
同社には廃番を惜しむ声が多数寄せられているという。
「ただ、中国生産といっても自社工場、アメリカ工場のノウハウを注げば同等かそれ以上の製品が作れます。ユーザーの方には価格面でのメリットも生まれると思います」(田中氏)。
ゴルファーの憧れだったシューズがなくなってしまうのは寂しいが、新しいフラッグシップの登場に期待するほかない。
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