石川遼の米ツアーデビュー戦となった先のノーザントラストオープンで米下院議員などから批判を浴びたPGAツアー。過度な批判に対して、ゴルフ界が反発し、その逆襲の効果が徐々に上がっているようだ。
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派手さが非難されたノーザントラストだが、いい点も見て欲しいとゴルフ界が反撃
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日本ではあまり報道されなかったが、米下院の有力議員たちが、歌手を招いての一流ホテルでの豪華なパーティなどを行った金融系のスポンサーであるノーザントラストの試合にクレームをつけていた。
さらにそれが高じて、政府の資金が投入されている銀行などへ、エンターテインメントビジネスに金をかけるのはいかがなものか、という声まで出はじめていたのだ。
実際には、ツアー自体は縮小傾向にあり、銀行系のワコビアはスポンサーは続けているものの、トーナメント名をクエイルホロー選手権と変えて名前が表に出ないようにしている。
モルガンスタンレーもメモリアルでは、ホスピタリティテントをやめると言っているし、非売品のマスターズの裏チケット相場が昨年より2~3割は値下がりしているという話も聞く。
批判の声に影響を受けてか、今年は自粛気味のためにこんな現象まで起こっている。
が、こうした動きに対して「通常考えられているより、ゴルフははるかに多くのものを与えている」というキャンペーンを米ゴルフダイジェスト誌が張り始めた。
ツアーや、ゴルフばかりが悪いのではないとしながら、「謝ることをやめ、ディフェンスする時が来ている」と同誌のジェリー・タード編集長が語っているのだ。
これに応えて、ゴルフ界のなかからも批判に対する反撃の声が上がり始めた。
例えば、PGAツアーのティム・フィンチェムコミッショナーは、「こういう経済状況のなかでも企業はスポンサー契約を続けたがっている。なぜなら、それだけの価値があるからだ」と語ってツアーを擁護している。
企業にもよるが、米ツアーは、世界中にテレビ、インターネット、雑誌などで配信され、裕福なゴルファー層が関心を寄せていることから、広告効果は抜群なのだ。企業にすれば、経済状況が悪くなったとしても、効果のある広告媒体を手放すわけにはいかないのだ。
ゴルフがチャリティに果たす役割も大きい。PGAツアーの試合を開催することによって年間100数10億円というチャリティの資金が集まっている。
経済効果でもメジャーなら100億円単位、通常の試合でも数10億円の経済効果が、トーナメントが開催される地元にもたらされるという。
ちなみに昨年の全米プロはミシガン州で開催されたが、これに関連したホスピタリティで年間5万7000人の雇用を促し、1300億円もの経済効果があったとされている。ツアーの開催は経済活性化に着実に寄与しているのだ。
米国での今回の動き、どういう展開を見せるか、注目したい。
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