フジクラの新ブランド『モトーレ』の前評判が高い。米ツアーでは3戦目のボブホープでデビューするや否や使用率トップ、その後も常にトップクラス。一体どんな素性のシャフトかと思いきや、意外に日本サイドとの関わりが深いシャフトだった。
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右・モトーレスピーダー 左・モトーレF1
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フジクラは09年主力モデルとして『ランバックスF』を昨秋発売したばかり。にもかかわらず早いサイクルで新製品が投入されるのは以下の理由からだ。
実はモトーレには『モトーレF1』と『モトーレスピーダー』があり、これはまったく別々に開発されたもの。
前者は米国法人のフジクラコンポジットアメリカが米国市場向けに企画。後者は日本で『スピーダー』の後継ブランドとして開発が進められていたもので、日本サイドでは当初このタイミングで市場に投入する予定はなかった。ところが、鳴り物入りで登場した『R9』(テーラーメイド)に米国サイドのシャフトが採用されたことから話は急展開。
「飛びを求めているのは同じ。同じブランドで統一したほうがメリットはある」(藤倉ゴム工業・甲斐哲平氏)ということで、『モトーレ』と『スピーダー』をブランドミックスすることが決まった。
ただ、同じ“籍”に入っていても、生い立ちが違えば性格は異なる。『モトーレスピーダー』はフジクラで初めて4軸シートを使用。3軸と組み合わせた7軸仕様を売り物にしている。
「今までと違って小さなしなりでも走るシャフト。飛距離性能を殺すことなく、方向性が向上しています」
一方、『モトーレF1』は米国で独自開発した技術で作られており、オリジナルの米国仕様はかなりハード。ただし、日本向けのJスペックは同じ技術を使って日本で設計し直されたもので、日本の女子ツアーでも『モトーレF1』を使うプロが増えている。
『ランバックス』からのリシャフトと他社製品からの乗り換えの比率はほぼ半々で、これまでフジクラのシャフトが合わなかったプレーヤーでも違和感なく使えるという。
ほかにもこうしたブランドミックスが成功しつつあるのは、USTマミヤ。マミヤオーピーとUSTは「親会社と子会社の関係でありながら実質的に競合してきた間柄」(USTマミヤ・広瀬昇弘氏)
USTが米ツアートップ30名でナンバー1の使用率を獲得する一方で、マミヤOPは日本市場で4番手に甘んじてきた。そこで今年2月、USTのマーケティングやブランド力とマミヤオーピーの技術力を生かすために両社の事業を統合した。同社の新しい主力製品『アッタス』は、E・エルスや今田竜二が使用しているが、
「世界最高峰のツアーでマミヤの名前をアピールできる効果は大きく、すでに日本でも反響が出ている」(広瀬氏)とこちらも順調な滑り出しを見せている。
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