日本一高い105万円の高額年会費で、完全プライベートクラブを目指していたイーグルポイントGC(茨城)が、自主運営の旗を下ろし、4月1日から森インベストに運営を委託している。人材派遣のフルキャスト代表の平野岳史氏や漫画家の本宮ひろ志氏など著名人がコース買収してスタートしたイーグルポイントGCに何が起きていたのか。
05年1月以降9回に渡って実施された会員募集での発行価格は、1000万円から始まって、最高は2500万円という最近としては超高額募集。
何かと話題をさらってきたのがイーグルポイントGC。同GCは4大タクシー会社の一角である国際自動車が母体となって、99年4月にオープン。代表の平野氏らが取得したのは04年9月。
平野氏の他、GMOの熊谷正寿氏、光通信の重田康光氏、牛角の西山知義氏、USENの宇野康秀氏、テイクアンドギヴ・ニーズの野尻佳孝氏、同社の監査役を務める公認会計士の平田毅彦氏、そしてシートゥーネットワークの創業者稲井田安史氏の個人8名に、本宮氏の法人であるサード・ラインと電子部品製造機器メーカーの東京ウェルズの2社で、発行済み普通株600株を、きっちり60株(10パーセント)ずつ持ち合う形でスタート。
法人2社以外は、いずれも新興の上場会社として知られる企業の経営者がずらり(ただしシートゥーネットワークは03年に上場廃止)と顔を揃える。
会員権は預託金型ではなく議決権がない種類株。平野氏らが持っているのは普通株なので議決権付き。4年間で9回も募集をしたとは言っても、会員数はわずか100名たらず。贅沢なプレー環境が確保されてきた。
イーグルポイントは06年5月に普通株の募集を一度実施しており、今回運営を任された森インベストはそのとき、サマンサタバサジャパンの寺田和正氏らとともに普通株の株主に加わっている。
森インベストは全部で680株の発行済み普通株のうち、27株を保有していたが、サード・ライン社保有分などを譲り受け、176株を保有する筆頭株主にもなっている。
「会員になった時に(同社代表の森健氏が)理事にもなっており、理事の中ではゴルフ場運営の経験があるのは森だけだった。運営に閉塞感が出てきていたところだったので、やってもらえないか、との依頼を受けた」(森インベスト広報)というのが運営を引き受けることになったいきさつだという。
株式取得はそれとは別に、本宮氏らの依頼で取得したもので、株式の追加取得と運営受託に因果関係はない。
「運営上の方針の違いから株主を下りたが、名誉会員として残ることになった」(本宮氏)
また、平野氏は代表を下り、森インベストの飯島敏郎氏が代表に就任するが、平野氏は株を手放すわけではない。
イーグルポイントは平野氏らの買収以後、毎年1.6億円~2.6億円もの赤字を出し続けているが、預託金債務がなく、自己資本は24億円もある。財務体質は磐石ではあるが、毎年多額の赤字続きというのはやはり放置されて良いはずはない。
現在のプレーフィーはメンバーが全日9890円で、ビジターは平日が2万4890円、土日祭日が3万4890円。平日はメンバーの紹介でOKだが、土日祭日は同伴で1名につき1組までと、かなり厳しい。
「会員のプレー環境は維持した上で、主に平日の集客を増やし、3年後には営業赤字解消を目指す」(森インベスト)
「4月中には平日のビジターフィーは多少引き下げられる見通し」(宇敷慎一支配人)だという。森インベストの手腕に注目しよう。
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