スター誕生! こんな見出しで欧州ツアーを賑わしたのは、先のアイリッシュオープンに優勝したアマのシェーン・ローリー(22)だ。欧州ツアーで、アマチュアが、優勝するのは史上3人目。地元アイルランド出身、欧州ツアーデビュー戦で優勝したシンデレラボーイに迫った。
「今大会は初めてツアーに招待されたイベント。それだけに優勝にショックを受けている。なんて表現していいのかわからない」と本人が語るように、このアイリッシュオープンが欧州ツアーのローリーにとってのデビュー戦だった。
アマチュアのワールドランキングは16位、08年はアイルランドのアマ大会で3勝しているものの、初試合、初優勝というのは、欧州ツアー史上初の出来事。
だからこそ大きな話題となった。
大会2日目には、9バーディ、1イーグル、1ボギーの10アンダー62という大会記録を達成。「予選が通ればよいと思って出場したが、金曜日に62を出して、今週はいけると思った」と語るように爆発力は備えていた。
さすがに、最終日はプレッシャーがかかったようで、「グリーンに乗せて、2パットで沈めることだけを考えていた」ということだが、最終18番では、これを入れれば優勝という1メートル弱のバーディパットを「震えて引っかけてしまった」と決められず、ロバート・ロックとのプレーオフに。
18番パー5を使ってのプレーオフの2ホール目では、ピンまで270ヤードをスプーンで打って2.4メートルにつけたが、このイーグルパットもはずす。
プレーオフ3ホール目でロックがボギーを叩いて、やっと決着がついた。地元アイルランドのギャラリーを味方につけて、堂々とプレーオフを制したのだから、スター誕生といっても過言ではないだろう。
72ホール目のパーパットを沈めた直後には、同じアイルランド出身のローリー・マクロイが駆け寄り「心配することはない。このままやれば、きっと勝てる」と励ましたとか。
ちなみに、これまで欧州ツアーをアマチュアで制したのは、今年の2月のジョニー・ウォーカークラシックで優勝したダニー・リーと2007年にロシアオープンに勝利したスペインのパブロ・マーチンの2人だけ。
ダニー・リーはマスターズの直後、プロ宣言をしてすでに米ツアーに参戦している。
そのダニー・リー(18)や石川遼(17)とともに10代プレーヤーとして、マスターズを沸かせたマクロイ(今年5月に20歳になった)は、この試合で米欧のチーム対抗戦のライダーカップを「エキシビション」(非公式試合)と語って顰蹙を買ったが、最後にローリーを応援して、男を挙げる形となった。
「マクロイとは、彼がアマチュア時代からよく知っている友人だが、彼のやってきたことは、本当にすごい。自分もいつか彼と同じレベルで戦えるようになりたい」と殊勝なことを語るところもローリーの人気を高めているのかもしれない。
その一方、アマチュアのために逃した50万ユーロ(約6500万円)の優勝賞金に関しては、「全く気にしていない」と太っ腹(?)のところを見せている。
ローリーの父親は、アイルランド・フットボール(サッカーに似ているが、ボールを手で持つことができる)の有名選手で、お金には不自由しない一方、運動能力はその父親から引き継いでいることは想像に難くない。
プロ入りは時間の問題といわれるローリーが、今後どんな活躍を見せてくれるかが、楽しみだ。
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