5月14~15日、埼玉県の飯能GCで第17回日本女子シニアゴルフ選手権が開催され、79、80の159でまわった三木逸子さんが山本美惠子さん(以下敬称略)とのプレーオフの末、2年連続の優勝を飾った。女子の、アマチュアのシニアの大会、一体どういう人が出ているのだろうか。
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34歳でゴルフを始めて女子シニア2連勝。いまどきシニアの実力はすごい
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優勝した三木は現在51歳、高知市内の中学校で保健体育を担当する現役の教師。バスケットボール部の顧問をしているため、ゴルフの練習は毎日行っているが、ラウンドはほとんどできず、「月に1回まわれればいいほうですね」と、笑う。
そんな厳しい環境のなかでも、三木は中学時代から砲丸投げを始め、中京大学に進んでからは円盤投げ、やり投げをやっていたという筋金入りのアスリート。
それだけに、50歳を超えてなお、ドライバーの平均飛距離240ヤードというパワーと、鍛え抜かれた体力は、女子シニア界では群を抜いている。
同選手権で三木とまわったこともある現JGA女子ナショナルチーム強化委員長、里深真弓は言う。
「ドライバーを打った後、ほとんどの人がユーティリティかロングアイアンを持つなかで、三木さんだけはショートアイアン。あのパワーは、彼女の大きな武器です。ただ、性格的に優しい人なのでメンタル面に弱いところが見られます。精神的にもっと強くなれば、おそらく、女子シニア界では無敵の存在になるでしょうね」
この三木がゴルフを始めたのは34歳の時。転勤先の学校にゴルフ好きな教師がいて、勧められたのがきっかけだった。
始めて2年でシングル入り、4年目には四国でもトップクラスの実力者になっていたというから、もちろん人並み外れた才能があったことは間違いない。
一方、三木とプレーオフを戦った山本(50)がゴルフと出会ったのは獨協大学に入学し、ゴルフ同好会に入った18歳の時。始めたのは三木より早かったものの、競技ゴルフに本格的に取り組み出したのは、今から7年前。山本は43歳になっていた。こちらも三木同様、遅咲きのプレーヤーといえるだろう。
今大会、20歳をすぎてゴルフを始めた人はトップ17位タイ19人のうち13人いた。
今の若い女子選手たちはジュニアの頃からゴルフに親しみ、高校、大学とゴルフ有力校で力を磨いている者がほとんどだ。
これに対して女子シニアの選手たちは、ゴルフを始めた時期も遅ければ、競技ゴルフに本格的に参戦する時期も遅いという人が多い。というのも、結婚後、子育てが一段落して時間に余裕が持てるようになってからゴルフに本格的に取り組み出すという人が多いからだ。
里深さんは、「50歳といっても、今どきの50歳は体力的にも精神的にも、昔に比べて若いですよ。それに、道具もゴルフを取り巻く環境も格段によくなっています。今は、シニアにとってゴルフをより楽しめる時代なのです」
以前、本欄で紹介した70歳のエージシューター福井香代子も、20歳で始めたゴルフを一時中断、再びクラブを握ったのは40歳を過ぎてからだった。
アスリート志向の女子シニアプレーヤーは、今後さらに増えていくことだろう。
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