国内男子ツアーは先週、4週間ぶりに再開した。その直前の25日、日本における全米オープンの最終予選が茨城県の龍ヶ崎CCで開催された。1日36ホールの長丁場の末、出場31選手中、上位5人が今月ニューヨークで開催される本戦に駒を進めた。だが、大会に関する話題は「石川遼、予選落ち」の一色。その陰ではどんなことが起こっていたのだろう。関係者の声を聞いた。
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日本人選手は横尾(左)と甲斐の2人が通過。本戦に期待がかかる
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ともかく、石川遼が出場する大会である。しかも、関東地区で石川遼がプレーする競技会は今季これが初。そのうえ入場無料とあっては、ファンが見逃すはずはない、ということで、当日の会場には2258人もの大ギャラリーが集まった。
「立ち会った全米ゴルフ協会(USGA)の役員もギャラリーの多さにはビックリしていました」(日本ゴルフ協会事務局)。
昨年も茨木CC(大阪府)で同予選が実施され、石川遼も出場したが、そのときは競技運営の安全を理由に往復ハガキによる事前申し込み制で、ギャラリー数は1500人に制限された。今回、2000人を軽くオーバーしたことは、関係者にとっても意外だったようだ。
ところが、ギャラリーが押しかけたのは、当日だけではなかった。
実は、ゴルフ好きで知られる司会者の小倉智昭氏が、自身が司会を務める朝の人気情報番組で、5月16、17日に開催された青木功と日野皓正がホストとなった「ザ・レジェンド チャリティプロアマ」のイベント紹介をした際に、この予選の開催日を誤って1週間早い18日と口にした(後に訂正)。
その言葉を信じた一部のファンが18日に大会会場を訪れていたのだ。「数人程度だと思いますが、確かに間違えて来場された方がいらっしゃいました」(龍ヶ崎CC)
さすが人気番組というべきか、あるいは石川遼の人気というべきか。改めて石川の集客力の大きさには驚かされる。
この人気をテレビ局が放っておくはずはない。全米オープンを中継するテレビ朝日では、今年初めて同予選の地上波中継を行った(5月31日放送)。石川遼が予選を通過していれば、全米オープン中継の最高の番宣材料となったのだが……。
ところで、今回、本戦へのチケットを手に入れた5選手だが、内訳はアジアンツアーで活躍するアンジェロ・キュー(フィリピン)とベ・サンモン(韓国)。
日本ツアーの横尾要と甲斐慎太郎、デビッド・スメイル(ニュージーランド)。日本ツアー選手の3選手はいずれもメジャー大会経験者で、結果的に実績のある選手が選ばれたことになる。
「今回は、国籍の点からも、あるいは在籍するツアーの点からも、とてもバランスが取れた結果となりました。現在の東アジアのゴルフ界の状況が、そのまま反映されたといってもいいでしょう」と大会関係者は満足気に語る。
また、運営がスムーズに行われた点からも、USGAはこの大会をアジア地区における最終予選として高く評価していた。
同じ予選会として、気になるのが、全米女子オープン最終予選の日本開催だ。本来何事もなければ、今年、大利根GC(茨城県)で実施されるはずだったのが、リーマンショックの影響でUSGAが急きょ中止したのだ。
男子の最終予選の成功が、今後いい方向に作用するといいのだが。
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