先々週の三菱ダイヤモンドカップでは、4日間、2つのホールでティショットの飛距離=「ドライビングディスタンス」が計測され、石川遼が見事“ドラコン王”となり、賞金100万円を獲得した。実は、このコンテストの優勝は石川遼らしいゴルフに徹したお陰であると同時に、ちょっとしたラッキーによってもたらされたものだった。
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296.25ヤード飛ばしてドラコン1位になった
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男子ツアーでは、開催コースでドライビングディスタンスを計測するのに適当な2つのホールが設定できれば、全選手のティショットの飛距離を計測している。
適当なホールとは、基本的に全選手がドライバーを使用し、ホール全体がストレートで、平坦な地形であること。
さらに、そうしたホールが、互いに正対する向き(風向きが一方はフォロー、もう一方がアゲンストになる)で2ホール設定できれば、その平均飛距離を「ドライビングディスタンス」の公式記録としてデータ加算しているのだ。
ところが先の三菱ダイヤモンドカップの舞台の大洗GCでは、もともとその適当な2ホールが設定できなかった。
「とりあえず2ホール(10番と17番)選んだのですが、17番は左サイドが海のほうへ谷になっており、ロングヒッターが安全策を取った場合はドライバーを手にしません。ですから、初めから公式記録としての計測はしないことになっていました」(大会運営スタッフ)
∞ にもかかわらず飛距離が計測され、「ドライビングディスタンス」賞が設けられたのは、大会の恒例で、賞金100万円を提供するスポンサーも以前から決まっていたからのようだ。
そして、実施された飛距離計測だが、やはり17番では今回プレーオフを戦った兼本貴司とB・ジョーンズをはじめ、多くの飛ばし屋がドライバー以外のクラブを手にした。
そのなかで、“ドラコン王”に輝いた石川遼は「2番ホール以外はドライバーで攻め続けていたと思います」(観戦記者)というように、いつもの自分のゴルフに徹し、平均飛距離296.25ヤードを記録した。石川遼の今季公式の平均飛距離は290.25ヤード(21位)だから、これまで以上に飛ばしたことになる。
ちなみに、大会2日目は大変な強風が吹き付け、スコアも1人を除き全員オーバーパーという荒れ模様となった。
そのなかで、まともなアゲンストとなった10番では、石川遼でさえドライバーで234ヤード。星野英正をはじめ何人もの選手が200ヤードに届かなかった。
そうしたコンディション下でのこのタイトルは、石川遼が自分のスタイルを貫いたことに対するご褒美だったのだろう。それゆえ受賞に際し「僕にとって宝物。この賞を汚さないよう、もっと飛ばして頑張ります」と挨拶したのもうなづける。
もともと実施されなくても良かった飛距離計測。そして、多くの飛ばし屋がドライバー選択を避けたコースコンディションと、確かに今回はラッキーな面があった。
実力で飛ばし屋No.1に輝く日が来るのを期待したい。
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