2番ウッド、ブラッシーといえば、すでにパーシモン時代にクラブ界から消えたクラブ。それが、ここにきてにわかにスポットライトが当たり、今年になってニューモデルが相次いで発売されるなど、ブラッシーが復権しつつある。そのわけは何か?
|
構えるとドライバーなみの大きさのヘッドのメガブラッシー(左)、パワーブラッシー(右)も投影面積は大きい
|
400ccドライバー級の投影面積を持つ『メガブラッシー』を発売したのはマルマン。メガシャトルi4000Xのシリーズのなかで発売されたもので、ロフトは13度、長さ42.75インチとすることで飛距離性能にこだわったクラブだ。
「昔のブラッシーはドライバーが使いずらいホールや、ドライバーを苦手にしている人がその代わりに使うクラブでしたが、『メガブラッシー』はスプーンよりも飛ばせるクラブとして作ったものです。覚えてもらいやすいようにネーミングにブラッシーを採り入れました」(マルマン・桑木野洋二氏)
飛ぶスプーンという考え方は、ワークスゴルフが6月から発売した『フォーサイト・パワーブラッシー』も同じだ。
「ドライバーの仕様が規制されるなかで、どこで飛距離を稼ぐか。スプーンより飛距離が出て、なおかつ打ちやすいクラブとして『パワーブラッシー』を開発しました。現在の技術ならロフトを立てても球の上がるやさしいクラブが作れることがわかってきて、飛距離と打ちやすさを考えるとちょうどブラッシーのロフトである13度にゆきついたんです」(ワークスゴルフ・田中宏明氏)
前記の2モデルに対して、『ツアーブラッシーTB230』(ソリッドコンタクツ)はセカンドドライバーの発想で作られている。2種類のロフトが用意されているのも機能を明確にするためで、15度はフェアウェイからの打ちやすさを重視したスプーンに近いクラブだが、13.5度はティアップして打つことを考慮したドライバー寄りのクラブだ。
「本来のドライバーの飛距離が必要なホールもあれば、もう少し距離を短くして確実にフェアウェイをキープしたいホールもあります。また、長さが短めでロフトがあるクラブを使ったほうが、平均飛距離がアップする人もいます」(ソリッドコンタクツ・草場栄一氏)。
また、ブラッシーという名称は使われていないが、体積250cc、ロフト角12.8度、44インチのスペックでフェアウェイからの直打ちを想定した『FDーUDEX』(キャスコ)も同じカテゴリーのクラブといっていい。
ウッドの組み合わせでは1、3、5番というセッティングが定着しているが、この手のクラブが割り込む余地は意外とありそうだ。マルマンの『メガブラッシー』は5月1日の発売開始後1カ月の売上げが当初見込みの180パーセントに達したという。
人気の背景は、ドライバーの大型化・長尺化により選択の余地が少なくなったのも一因で、大型ヘッドや長尺を苦手とするゴルファーが、待ってましたとばかりに「ブラッシー」に飛びついた。
また、「スプーンでティショットを打つと冷やかされるけど、ブラッシーなら何も言われない」というゴルファー特有の心理を巧みに突いているところも見逃せない。
|